「はい、今開けますね」

鍵を開けてから、がくぽさんに部屋の番号を教えていなかったことに気付く。……キヨテルさんに訊いたんだ、そうに決まってる。

部屋の扉を開けると、優しげに笑うがくぽさんがいた。

「こんばんは、がくぽさん」

「こんばんは。すみません、お疲れのところ……」

「いえ、お気になさらず」

がくぽさんが靴を脱いでいる間に、僕は鍵を閉める――その直後!

「――っ!?」

突然口を塞がれた――これ、がくぽさんの手……!?

驚きに動けずにいると、僕の両手は後ろで一つに纏められた。口を塞いでいた手が離れて、背後から、がしゃんという音がする。

(手錠――!?)

冷たい感触に、拘束される感覚。間違いない。手錠をかけられた!

「ちょ……がくぽさん、何を……!」

「静かにしてください」

何かに酔いしれているような、がくぽさんの声。ぞくっと肌が粟立った。

「っう……!」

強い力で突き飛ばされ、両手の使えない僕は無様に尻餅をつく。苦痛に顔を歪めると、がくぽさんは歪な笑みを浮かべた。

「……そう……それだよ、それ……」

ぶつぶつと何かを呟きながら、がくぽさんは僕を抱き上げた。背中と足を支える、所謂お姫様だっこ。

「……ぁ、の……一体、何を……?」

「すぐに分かりますよ」

耳元で囁かれ、無意識に体が震えた。

がくぽさんは迷うことなく歩き、寝室の中に入っていく。そして僕をベッドの上に放り投げた。

「……さて」

恍惚とした声で呟き、がくぽさんは、恐怖と混乱で身動きのとれない僕の服を、思い切り引き裂いた――!

「…………ひうっ、」

「――答え合わせをしましょうか」





[ 7/36 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]