「はい、今開けますね」
鍵を開けてから、がくぽさんに部屋の番号を教えていなかったことに気付く。……キヨテルさんに訊いたんだ、そうに決まってる。
部屋の扉を開けると、優しげに笑うがくぽさんがいた。
「こんばんは、がくぽさん」
「こんばんは。すみません、お疲れのところ……」
「いえ、お気になさらず」
がくぽさんが靴を脱いでいる間に、僕は鍵を閉める――その直後!
「――っ!?」
突然口を塞がれた――これ、がくぽさんの手……!?
驚きに動けずにいると、僕の両手は後ろで一つに纏められた。口を塞いでいた手が離れて、背後から、がしゃんという音がする。
(手錠――!?)
冷たい感触に、拘束される感覚。間違いない。手錠をかけられた!
「ちょ……がくぽさん、何を……!」
「静かにしてください」
何かに酔いしれているような、がくぽさんの声。ぞくっと肌が粟立った。
「っう……!」
強い力で突き飛ばされ、両手の使えない僕は無様に尻餅をつく。苦痛に顔を歪めると、がくぽさんは歪な笑みを浮かべた。
「……そう……それだよ、それ……」
ぶつぶつと何かを呟きながら、がくぽさんは僕を抱き上げた。背中と足を支える、所謂お姫様だっこ。
「……ぁ、の……一体、何を……?」
「すぐに分かりますよ」
耳元で囁かれ、無意識に体が震えた。
がくぽさんは迷うことなく歩き、寝室の中に入っていく。そして僕をベッドの上に放り投げた。
「……さて」
恍惚とした声で呟き、がくぽさんは、恐怖と混乱で身動きのとれない僕の服を、思い切り引き裂いた――!
「…………ひうっ、」
「――答え合わせをしましょうか」
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