次の日、収録を終え、いつも通り、キヨテルさんの車で帰る途中にがくぽさんから電話がきた。今日は早めに終わったから、まだ8時。

「はい、もしもし?」

『どうも、収録お疲れ様です』

――え?

今日、スタジオにがくぽさんはいなかったはず……何で、今終わったって……知ってるの?

『――KAITOさん?』

「あ、いえ、すみませんっ」

きっと、僕が気づかなかっただけだ。そう思い、小さな疑問を抑え込む。

『少しお話ししたいことがあるので、お家に伺ってもよろしいでしょうか?』

「はい、分かりました。お待ちしています」

『ありがとうございます。それでは』

電話を終えると、キヨテルさんが声をかけてきた。

「電話、誰から?」

「がくぽさんです」

「何の用事だったの?」

「話があるから、家に来てもいいか、だそうです」

「ふぅん……」

答えると、キヨテルさんは複雑そうな顔をする。

「……まあ、がくぽくんなら問題ない……よな、うん」

「?どういう意味ですか?」

キヨテルさんは苦笑するだけで何も教えてくれなかった。昨日の、がくぽさんの台詞が蘇る。

――気をつけてくださいね。近頃は物騒ですから――

何か関係があるのかなあ……?

「着いたよ、KAITOくん。明日はオフだからね」

「はい、ありがとうございました」

ブォォォン、と走っていく車をしばらく眺めてから、オートロックのマンションに入って部屋に向かう。

少し部屋の片付けをしていると、チャイムが鳴った。がくぽさんだ。






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