今から、ちょうど二年ほど前。
青年と少年は、出会い、惹かれ、そして――恋に落ちた。
「……一目惚れかも」
そう呟いて、俺は携帯を開く。メール作成画面を表示。宛先は、出会ったばかりの青年――KAITO。
【今日はありがとう。楽しかったよ】
打ちこんだ文面は、本音ではあるのだけれど。
――駄目だ、
――こんな何気ないメールじゃ、あいつの心に届かない。
【今日はありがとう。KAITOのこと、大好きになったよ】
「……」
無理だ。
こんなメールは送れない。
「…………はぁ」
難しいな……恋の駆け引きってやつは。
自分で考えたことに笑いながら、俺は違う文面を考え始めた。
「……一目惚れ、なのかな」
ぼーっと今日のことを考えていると、それはあながち間違っていない気がした。
出会ったばかりの少年、鏡音レンのことを考えると、鼓動が少し速くなる。
この気持ちを恋と呼ぶのなら。僕は今まで恋をしたことがないといえるくらい……レンくんに恋をしている。
こんな想いは知らなかった。
――このままそばにいたくて
このまま笑いあってたくて――
伝えられない。
伝えたら、もう二度と会えない気がして。
怖いんだ。
壊れるのが――壊してしまうのが。
僕は……もう、何も、壊したく……ないから。
[ 2/36 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
![](http://sugouta.jp/img.php?n=banner1)