Broken you7


「り、リンっ!?」

声をかけるが、リンはそのまま走っていって見えなくなる。状況がいまいちよく分からずに僕が混乱していると、レンが口を開いた。

「……KAITO、リンはKAITOのこと……好き、なんだよ」

――え?

「うん、そう。リンちゃんは、兄さんのことが好きなの」

ミクも同じことを言う。

「え……なんで、分かるの?」

そんなことが口をついてでると、ミクとレンは理由を口にした。

「双子だから……何となくわかった」

「リンちゃんが教えてくれたの」

じゃあ。

レンは、知ってて――それでも、あんなことをしたのか。

僕の胸の中を、言葉に出来ない感情がぐるぐると回る。

「な、んで……僕なの?有り得ないでしょ……っ?」

「――有り得ないとか、言うなよ」

ふと、レンが僕の目の前に立った。無表情の顔に、切なさをたたえた瞳。

「俺、KAITOのこと……こんなに好きなんだぜ?」

つう、とレンの頬を涙が伝う。彼はそれを拭いもせず、僕の頬に手を添えた。

「れ……ん」

駄目だ。

拒もうとしたけど――

――レンの潤んだ瞳が、僕の体から力を奪う。





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