「じゃあ、あたしたち部屋に戻るねー」
「レン……そんなことしてると勘違いされるからやめなよ」
ミクとリンがそう言って、リビングから去ろうとする。リンの言った、「勘違い」というのは僕たちが恋人だと思われてしまうということだろうか。
勘違いじゃ、ないんだけどな……。
「ミク姉……リン!」
レンが、ミクとリンの背中に声をかける。2人は顔だけこちらに向けた。
するとレンは、顔を真っ赤にして、小さな声で告げた。
「勘違いじゃ……ないよ」
え?
レンは、僕のマフラーを軽く掴んで体を寄せてくる。そして――2人の前で、唇が触れ合った。
「っ……れ、レン……」
「……ごめんKAITO。KAITOは隠しときたかったんだよね」
ごめんね。そう言ってレンは目を伏せた。
「えっと……2人は付き合ってるってこと?だよね?」
ぽかーんとしているリンの頭を高速で撫でながら(?)、慌てた様子で問いかけるミク。
レンが反応しないので、僕はこくんと頷く。するとミクはリンのリボンを高速で捻りだした。……さっきから何してるんだろうか。
「う……そ」
リンが、絞り出すように呟いた。俯いていて表情が読めない。
「うそ、だ。そんなの」
「リンちゃん――」
「嘘だあッ!」
ミクの手を振り払って、リンは走り去ってしまった。
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