Broken you4


「……もっと……したい」

妖艶な手つきで僕の頬を掴むレン。彼はすっと瞳を閉じて、顔を近づけてくる。

「――うん」

僕も目を閉じて、いざ唇が触れ合おうとしたとき――

「たっだいまー☆」

「ただいまぁ!」

かん高い、リンとミクの声。レンは少しだけ目を開いてちらりと見ただけで、更に顔を近づけてくる。

リビングと玄関は扉を一枚隔てただけの距離。僕は慌ててレンから距離をとる。

「むぅ……」

レンが不満そうに呻いたけど……見られたら恥ずかしいどころじゃない。

「あー、なんか美味しそうなアイス食べてるー」

「兄さんにレンくん、ずるーい」

案の定、2人はリビングに突入してきた。口々にずるいずるいとさえずっている。

「ミク、リン、なんなら少しあげようか?」

「ほんと!?」「マジで!?」

2人が爛々と目を光らせた。苦笑しながらカップを渡すと、ものすごい勢いで食べ始めた。あれ……?少し?





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