Broken you3


レンの顔が、信じられないほど近くにある。

長い長い口づけ。やっとレンが唇を離した。

「……嫌、だった?」

黙り込んでいる僕に、レンが震える声で尋ねてくる。僕は、そっと自らの下唇に指を当て、にっこりと笑って言った。

「吃驚したけど……嬉しかったよ、レン」

「――っ」

喜んでくれるかと思ったら、何故かレンはぼろぼろ泣き始めた。

「え、ちょ、レン?どうしたの?僕何かした!?」

「ち、ちが……っ、う……」

まともに喋るのは難しそうだ。僕は迷わずレンの細い体躯を抱きしめた。

「っあ……」

「大丈夫……落ち着いて?ね、レン」

「か……いと……」

きゅ、とレンが僕の服を掴んでくる。その様子はまるで赤ちゃんのようでとても可愛かった。不謹慎だけど……。

「……ありがと。もう大丈夫」

ぐしぐしと目を擦って、レンは鼻を啜った。

「レン……何で――」

「嬉しかったから」

泣いたの、と言う前にレンがふてくされたように言った。

「KAITOが、俺のキス……嬉しい、って言ったから……嬉しかった」

よく見たら、レンの頬は朱に染まっている。





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