僕とレンが、所謂恋人同士になってから一週間。特に進展やら変化はなく、今まで通りに日々が過ぎていった。
「KAITOー、一緒にアイス食べよう」
「うん!」
2人で行動することは確かに増えたけれど、数少ない男性VOCALOIDだし、不自然ではないだろう。つまり、端から見たら僕たちは普通の友人なのである。
「ねぇ、レン」
「ん?」
「レンは、このままでいいの?」
「……」
僕が問うと、レンは少し黙り込んだ。そして、黄色いバナナアイスをこくんと飲み込み口を開く。
「べつに……俺は今のままで十分幸せだよ。そりゃKAITOと色々したいとは思うけど。思春期だし」
色々……。
「だけどさ、俺たちって相思相愛だから付き合ってるわけじゃないじゃん」
レンの口調も表情も、さっきまでと何一つ変わらないはずなのに。
その声には、寂しさと悲しみがこもっているように思えた。
「――レン」
「なに?」
僕はスプーンを置いて、レンの澄んだ緑色の瞳を見つめる。レンがびっくりした顔をして、少し頬を赤らめた。
……そんな顔しないでよ、こっちも恥ずかしくなってきたじゃん。
「僕、レンのこと好きだよ」
「……でも、それは」
僕から目をそらし、恋人としてじゃないだろ、と拗ねた様に呟くレン。
「ううん、違う。恋人として、僕はレンが好き」
レンの柔らかい頬を掴んで視線を合わせる。一瞬、レンの瞳が切なげに揺らいで。
唇に、温かい感触。
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