Broken you2


僕とレンが、所謂恋人同士になってから一週間。特に進展やら変化はなく、今まで通りに日々が過ぎていった。

「KAITOー、一緒にアイス食べよう」

「うん!」

2人で行動することは確かに増えたけれど、数少ない男性VOCALOIDだし、不自然ではないだろう。つまり、端から見たら僕たちは普通の友人なのである。

「ねぇ、レン」

「ん?」

「レンは、このままでいいの?」

「……」

僕が問うと、レンは少し黙り込んだ。そして、黄色いバナナアイスをこくんと飲み込み口を開く。

「べつに……俺は今のままで十分幸せだよ。そりゃKAITOと色々したいとは思うけど。思春期だし」

色々……。

「だけどさ、俺たちって相思相愛だから付き合ってるわけじゃないじゃん」

レンの口調も表情も、さっきまでと何一つ変わらないはずなのに。

その声には、寂しさと悲しみがこもっているように思えた。

「――レン」

「なに?」

僕はスプーンを置いて、レンの澄んだ緑色の瞳を見つめる。レンがびっくりした顔をして、少し頬を赤らめた。

……そんな顔しないでよ、こっちも恥ずかしくなってきたじゃん。

「僕、レンのこと好きだよ」

「……でも、それは」

僕から目をそらし、恋人としてじゃないだろ、と拗ねた様に呟くレン。

「ううん、違う。恋人として、僕はレンが好き」

レンの柔らかい頬を掴んで視線を合わせる。一瞬、レンの瞳が切なげに揺らいで。

唇に、温かい感触。






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