Broken you


「好きだよ、KAITO」

真摯な眼差しで、僕に告げた彼――鏡音レン。

「……なんで、僕？」

その雰囲気から、冗談や「友達、仲間として」という意味ではないと分かる。だからこそ、僕はレンに問いかけた。

「そんなん、俺にも分かんねーよ。KAITOってなんか情けない顔してるしヘタレだしドジだし馬鹿だし……」

「……」

流石の僕も傷ついた。好きな相手に言うことなのか？それ。

「……でも、好きなんだ」

言うと、レンは俯いてしまって表情が見えなくなった。今、どんな顔をしているのだろう。

「――レン」

名前を呼ぶと、レンは体をびくんと震わせて、おそるおそる顔をあげた。普段は勝ち気そうな瞳が、今は不安げに揺れている。僕がそうさせているのだと思うと、胸が締めつけられた。

「僕ね、今……好きな人、いないんだ。だから」

レンの瞳がぱあっと輝いて、僕は思わず頬をゆるめて告げる。

「お付き合いしよう」



……これが、全ての始まり。

いや、あるいは、２人が出会ったときから始まっていたのか。

それは分からないけれども。

ゆっくりと、物語は終わりへ近づいていく。




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