昌浩の居候が決定してから早数日、奴良組はいつもと同じ朝を迎えた。

《起きろ昌浩、朝だぞ》
「う〜ん、…分かった、起きる」
そう言って布団から出てきたのはこの家の主…とゆうわけでは無く、この家の居候の昌浩だ。
《そろそろアイツが来るぞ》
「うん、分かってる。」


たったったった


廊下から誰かが走ってくる音がする。それも小さく、子供のような足音だ。その正体を昌浩も物の怪も分かっているようで物の怪は平然としており、昌浩は少し微笑んでいる。

ガラッ

「まさひろ〜おっはよ〜!!」

ギュッ

「おはよう、リクオ」

いきなり障子をあけて入ってきたのはリクオだ。リクオは毎朝昌浩の所に来ては抱きついてくる。昌浩も初めは慌てたが数日も経てばなれた。昌浩は末弟なので弟がいない、だから弟ができたようでうれしいのだ。

「じゃあリクオ、朝ごはん食べに行こうか」
「うん!」
「もっくんはどうする?」
《…行く》

いつもと同じように食卓へ向かう。

「あっゆきおんなだ!」

そこでは雪女が食事を運んでいる最中だった。

「おはようございます。リクオ様、昌浩様。」
「おはよう!ゆきおんな!!」
「おはようございます。」
「もうちょっとで終わりますから待っていてくださいね。」
「うん/はい!」

雪女には初めは怖がられて陰陽師と呼ばれていたが慣れていくにつれリクオの時と変わらない態度をとってくれるようになった。

「様付けしなくていいのに…」

雪女は昌浩をなぜか様付けしてくる。陰陽師と呼ばれているほうがいっそ清々しいが直してくれない。居候なのに様付けされるのが妙な感じだがこれも慣れだ。

「リクオ様、昌浩殿、おはようございます」
「あっ黒!おはよう!!」
「おはようございます。黒田坊さん!」
「昌浩どの黒田坊さんだなんて…拙者のことは黒と呼んでください。敬語もかまいませぬ。」
「えっでも、俺、御世話になっている身ですし…」
「関係ありませんよ。一緒に住んでいる時点で家族同然です。それに拙者がそう呼んでほしいんです。」
「わかりmじゃなかった、分かった黒」

くろtじゃなかった黒は子供を守る妖怪らしく、(見た目)子供の昌浩には初めから有効的だった。たまに青田坊とケンカをするときもあるがふつうに優しい。だけど…

「(たまに法衣の中に見える、無数の暗器が怖いよ…黒)」
「ん?なにか言いましたか?昌浩殿。」
「う、ううん!なにも言ってないよ(汗」
「そうでござるか」

昌浩は冷や汗をかきながらもぶんぶんと首を振る。黒田坊は不思議に思いながらも気にしない。
突然、今までずっと黙っていた物の怪が口を開いた

《昌浩》
「ん?なに?」
《俺はちょっと鯉伴の所に行ってくる》
「?分かった。」
《おい、黒田坊》
「なんでござるか?物の怪殿?」
《鯉伴の部屋はどこに有るんだ?》
「では拙者が案内しましょう」
《あぁ、頼む》
「では、リクオ様、昌浩殿、またあとで。昌浩殿、ぜひ、ほかの者達も同じ様に接してやってくだされ。みんな喜びます。」
「う、うん。わかった」

昌浩の返事に満足すると黒田坊は物の怪を引き連れて去っていった。

「まさひろ!あおのところいこ!」
「うん!」





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