空と晴



前世の記憶を取り戻してから毎朝走り込みをしている。
記憶のおかげで戦闘センスはあるけど昔の俺よりはマシとはいえ身体が付いていかない状態だからだ。
平凡ライフを目指しているとはいえ此処は色々と物騒すぎる。リボーンに目を付けられる可能性もあるが今更な気もするし。
黒い悪魔を思い出し苦笑していると後ろから叫び声と共に土煙を出しながら近づいてくるものが居た。
地面コンクリートなのに土煙が出るって…

「極げぇぇん!!!!」
「うわっ」

ですよね!!お兄さんしかいませんよね!!
走り込みをしているからいつかは会うと思っていたけど相変わらず常に死ぬ気ですごい。

「むっ?お前は最近よく見かける…天野か!!」
「天宮です」
「おぉそうか!すまないな!!しかし毎日走り込むその根性…ぜひボクシング部に入ってみないか?」

隣を走ったままガシッと俺の手を掴むお兄さん。
走ってるだけなのに誘うって…誰彼構わず会う人全員に勧誘してる勢いだ。

「ごめんなさい」
「なに!?もったい無いぞ天野!!」
「天宮です」
「遠慮はいらん!一緒に拳で語り合おうではないか!!」
「俺総合格闘技派なんで!!足とか出しちゃうんでお気持ちだけで十分です!!」

このままでは前回と同様に戦うことになってしまう。
バッと手を振り払うと慌てて逃げるように走るがさすがお兄さん。余裕でついてくる。

「ボクシング部に入れ天野!!」
「死ぬ気で断る!!あと天宮です!!」

諦める様子のないお兄さん。勝負は嫌だし何か方法は…あ。一つだけある。というかこれしかない。
あんまり言いたくないんだよなぁと呟くが背に腹は代えられない。腹を括り立ち止まるとお兄さんも止まってくれた。

「お…了平さん」
「ボクシング部に入ってくれるのか?天野!」
「だから天宮です!!…ボクシング部には入れません。元々俺は総合格闘技派で足も出ますし向いてません。」
「そんなものは関係ない!!ボクシングをやっていたら自然と身につくはずだ!!」
「そうかもしれませんがお断りします。でも…」
「でも?」
「もうすぐ、了平さんの前に100年に1人の逸材が現れます。もしその人に勝ってボクシング部に入ってもらうことができたなら、俺も入ります。」
「なに!?それは本当か!!」
「嘘はつきません。本当です」
「…分かった。男と男の約束だ!!」
「はい!」

お兄さんは大きく頷くと、待っていろ100年に1人の逸材!!と叫びながら走っていった。

「よし、上手くいった…」

これでお兄さんは俺(綱吉)の方に意識が向くはず…ごめん、俺。お兄さんを押し付けちゃったけど何とかしてくれると信じてるよ。

その後、校門前でボクシング部の勧誘を受けている沢田を見かけた。
がんばれ俺。原因は俺みたいなもんだけどお前に全てかかっているからな!


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[mokuji]



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