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平日のためか、いつもより空いているナミモリ―ヌ。
先ほどのお礼にとケーキを奢られそうになったが男の意地で回避した後(女性に奢られたなどとリボーンに知られたら銃をぶっ放されてしまう)美味しそうにケーキを頬張るハルに笑みを浮かべながら沢田たちのことを考えていた。
沢田たちは今頃ランチアさんと戦っている所だろうか?ここまでは記憶とたいして違いはないが、どう転ぶかはわからない。
でも、このままいけばおそらく骸は…

「ソラさん、悩みごとですか?」
「…え?」
「ソラさん、今すっごく難しい顔してます。ハルでよかったらお話聞きますよ!」
「……そんなに顔に出てた?」
「はい、それはもう」

眉間にしわがよっちゃってます!と眉間を指で押され呆気に取られる。

「ハルは、ソラさんが何について悩んでるかは知りません。今日までちゃんと話したこともない人間です。でも、そういう人の方が相談するときは最適なときもあると思いますよ?」

そんなハルの言葉に思わず懺悔のように口を開く。

「…………どうすればいいか分からないんだ」
「……」
「ただ、俺が一方的に相手のことを知っていて、止めようと思えば止めれるのに、昔とは違う今の関係を壊したくないって理由だけで動けずにいる。俺が動かなくても大丈夫って言うのは分かってるんだけどやるせなくて…多分、向こうも俺が踏み込んでくるのを良しとしない。動かないって決めてたくせにいざとなったら後悔ばっかで…ほんと、優柔不断で嫌になる」

骸との今の関係を壊したくない。でも、動こうと思えば…ちゃんと、覚悟を決めていれば隼人や了平さんは傷つかずに済んだかもしれないし、こうなる前に骸を止めることも出来たのかもしれない。
ただの一般人でしかない俺がどうこうできる問題でないのも知ってるし首を突っ込んでいい物ではないのも解かっている。本来の流れに任せて、何もしないのが一番だと分かっていたのに…

「…ソラさんは、優しいですね」
「…え、どこが!?」
「優しいです。だって、そうやって悩んでるのって全部相手の為じゃないですか」
「そんなことないよ。だって、結局は俺のわがままみたいなものだし」
「それでもです。ハルは、詳しいことはわかりません。どれが正しいとかこうしたらいいとか助言もできません。でも、今の関係を壊したくないって気持ちは分かります。ソラさんにとっても、相手にとっても大切な時間なんだってことはハルにだってわかります」
「……」
「だから、そのままでもいいんじゃないでしょうか」
「…え?」
「ソラさんはソラさんでその人を支えてあげたらいいんだと思います。なんでもかんでも抱え込もうとするんじゃなくて、今のソラさんができる精一杯のことをしてあげたらいいんです。今の関係を保ったままをソラさんが望むなら誰もそれを責める資格もなければ権利もありません。だって、ソラさんの人生なんですよ?なのにソラさんがそんなに苦しんでたらそれはなんか違うと思います」
「ハル…」
「ソラさんはどうしたいんですか?」
「俺は…」

……この関係を終わらせたくない。わがままだというのは分かってるけど、前とは違う、天宮空として隼人の友人であり、骸と友達でいたい。裏の世界とかマフィアとか、そんなの関係なく、ただの天宮空として皆の友人でいたい。

「…うん、ありがとう。ハル」
「どういたしまして!ソラさんならきっと大丈夫ですよ!ハルが保証します!!」

今はまだ、沢田綱吉として区切りを付けることができないけど、天宮空として彼らにとっての普通の友人でいたいんだ。


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[mokuji]



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