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ツナside

「あ、天宮すげー!!てかなんでおは朝!?」
「ソラ、あのおは朝みてたんだな」
「……彼奴のキャラが分からなくなってきたぜ」

目の前に出されたディスプレイに映っていた光景に思わず息を止めてしまう。
天宮と別れたあと、骸を打倒するべく皆で黒曜センターに乗り込みここまで犬やMMと名乗る敵と戦ってきた。
今はバーズと名乗るおじさんと対峙していて京子ちゃん達が人質に取られていたんだけど…

「…そういや俺も今日おは朝見たけど今日の俺のラッキーアイテムはバットだったぜ!!“今日は一日デンジャラスな日になるかも!胸騒ぎがしたら人通りが多い商店街に行くのが吉!!”って言ってたな」
「何そのピンポイントな占い!?」
「つかなんでテメーはそんなの見てんだよ!!」
「いやーいつもの調子で朝練あると思って起きたら流れてた」
「ちなみに日本のおは朝占いはふう太と同等レベルで当たるとマフィア界でも有名なんだぞ。中には占いの結果で抗争をやめたり、敵対しているマフィア同士が同盟を結ぶこともあるらしいな」
「マジで!?」
「ほんとだぞ。といっても占いなんかでんなこと決めるのはよっぽどのおは朝廃か占いに頼ることしかできない弱小ファミリーぐらいだけどな」

さらっとマフィア事情を聞かされたけど何それ怖い…。
おは朝マジおは朝だろ。ちょっとこれから頑張って起きておは朝見てみようかな…。

「な…なぜだ!!なぜこんなことに!!」

自分が出したディスプレイを見つめ喚きだしたバーズを見て本来の目的を思い出す。
はっと声のする方を見ればワナワナと身体を震わせていた。

「バカな…やつらは双子の悪魔と呼ばれた殺人鬼だぞ…。いや〜、やっぱり六道さんのミッションはレベルが高い。それでは私はこれで失礼します。では」
「どこ行くんだよ」
「ぐえっ」

何事もなかったかのように去ろうとするバーズに獄寺君が蹴りを入れるとそのまま倒れた。
なんだろ…俺が言うのもあれだけど弱っ!?
「…って一発で伸びちまったぜ」
「命令する本人は大したことねーのな」
「所詮、欲得で動いてるやつだからな」
「で、結局この人たち何なんだよ…」
「こいつらは骸たちと一緒に脱獄した奴らだぞ。脱獄した後消息途絶えてたんだが、まさか合流していたとはな」
「何それ聞いてないんだけど!!」
「だってだって、ディーノがこいつらは関係ねーなって言ったんだもん!」
「キャラ変えて誤魔化すな!!…って、もういないよな…?」
「いるわ」

他にも居たらどうしよう…とあたりを見回すけどそれらしい人影はいない。
よかったと溜息をつこうとするとビアンキが険しい顔をして前に出た。

「大人しく出てきなさい。じゃないとこっちから行くわよ」

そういって茂みの方を睨みつけていて、俺たちもつられるように視線を動かす。
すると、木の陰から行方不明だったふぅ太が出てきた。

「ま、まって。僕だよ…」
「ふぅ太!!」
「こんなところに…」
「逃げてきたんじゃねーか?」
「とにかく良かった!元気そうじゃんか!!みんないるからもう大丈夫だぞ。さ、一緒に帰ろうぜ!」

少し遠いけど見た感じ怪我らしきものもないし良かった…。早くふぅ太をここから逃がさないと。

「来ないでツナ兄」
「…ぇ?」
「僕…もうみんなのところには帰れない…」
「なにいって」
「僕…骸さんに付いて行く…!っさよなら」
「ちょっと待てよ!ふぅ太!!」

後ろから山本や獄寺君の声が聞こえたけど振り返らずに追いかけた。いまここでふぅ太を見失ったらいけない気がする。放っておいたらダメだと勘が告げていた。

「どこだよここ〜。やっぱさっきのとこ左だったかな…?」

茂みを掻きわけ進んでいくがふぅ太を完全に見失ってしまった。
ほんと俺ってダメダメだな…。
自己嫌悪で溜息をついてると後ろの方の茂みが動き、何かが近づいてきた。

「ふぅ太?」

もしやと思い振り返るとそこには小さい少年ではなく、


「助けに来てくれたんですね。ありがとうございます」


不思議な雰囲気を纏った藍色の髪をした黒曜生だった。


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[mokuji]



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