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「ありがとう、ソラ君」
「どういたしまして」

京子ちゃんを無事家に送り届けたあと、おもむろに道を歩きながらこの後起こるであろうことを記憶の中から掘り起こす。
確かあの後すぐにレオンの尻尾が切れて、犯人の目的が俺だと分かってその後……

「隼人が危ない!!」

なんでもっと早く気付かなかったんだと自分に腹が立つも怒っている場合じゃない。早く商店街へ行かないと…!!





ドカーンドカーンと普通は聞こえるはずのない音が奥から聞こえる。間に合わなかったかと焦るが戦闘音が聞こえるということはまだ無事だということだ。耳や周りの反応を頼りに必死に足を動かす。
近づくに連れて人混みが多くなり走り難くて仕方ないが視界が開けた途端目の前に映ったのは沢田を護ろうと盾になっている隼人だった。

「隼人ッ!!!」

ドサリと音を立てて倒れた瞬間、思わず叫んでしまった。ボロボロな敵…千種はさらに攻撃を仕掛けようとしている。

「ッお巡りさん!!こっちです!早く!!!」

とっさに嘘をつき、精一杯の演技をする。この時ばかりは何時役立つか分からないからとねっちょり教えてくれた先生に感謝する。
俺の声に千種もピタッと止まりこちらを一度見ると逃げるように去っていった。

「隼人!沢田!!」
「天宮!!獄寺君が!!」
「とりあえず医者に連絡を!!俺は応急手当てをする!!」
「わ、わかった」

千種の針にやられたらしい傷は酷かった。毒が塗ってあるかもしれないがそこまでは覚えていない。
ポケットからハンカチを取り出し傷口に当てていると山本が合流した。

「ツナ!ソラ!どうした…って獄寺大丈夫か!?」
「山本!!」
「なんか大変だったみたいだな。わりぃ間に合わなくて…」
「それはいい!!とりあえず止血を手伝ってくれ!」
「わかったのな!!」
「天宮!獄寺君を保健室に運べって!!」
「保健室!?」
「シャマ…腕だけはいい医者が保健室にいるんだ!」

シャマルか…!
「わかった!」
「獄寺は俺が運ぶぜ」
「助かる」

隼人を山本に任せ学校に向かった。


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[mokuji]



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