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最近、風紀委員が何者かに襲われているらしい。
いよいよか…と思う反面複雑な感情が隠せない。フゥ太のランキングには名前を変えてもらっているため自分は狙われることはないだろうけど知ってて何もしないのはなかなか歯がゆいものだ。
骸の邪魔をしに行くつもりはないけど友達を助けるために少しぐらいいいよね。と自分に言い聞かせていると前方に沢田とリボーンが居た。
「おはよ。沢田、リボーン」
「ちゃおっす」
「天宮おはよう!」
隼人たちと一緒じゃないなんて珍しいなと思いながら声を掛けると沢田の持っているチラシの山が視界に映った。
「どうしたの?そのチラシ」
「あぁ、これ?母さんが俺に護身用習わせたいらしくてどれがいい?って言われて渡された。いらないって言ってるのに」
「最近物騒だからな。ママンも心配してんだ」
「なるほどね」
確かそんなこともあったな〜とチラシを見つめる。この時は関係ないと思ってたけどガッツリ俺関係なんだよな…。
「あ、風紀委員がたくさんいる」
沢田がぽつりと呟くと視線の先には校門前を見張ってる風紀委員たちが居た。いつもより人数も多く、事情を知っていても気持ち的に通り難そうだ。
「そりゃ立て続けに襲われればピリピリもするだろ」
「でもこれ絶対風紀委員に恨みが有る奴らの仕業だって。天宮もそう思うだろ?」
「あーうん。風紀委員もいろいろやってるからね〜」
いや、お前狙いのマフィアを恨んでる奴らの仕業だよ。
なんて言えるわけもないので言葉を濁しながらも同意しとく。ぶっちゃけ風紀委員に恨み持ってる人はいそうだし。
「ちがうよ」
ふと聞き覚えのある声に振り返ると少し不機嫌そうな雲雀さんが居た。
「ちゃおっす」
「やぁ、赤ん坊」
「ひ、雲雀さん!!あ、あの!俺たちは普通に通学していただけでして、けして悪口とか…!」
「身に覚えのない悪戯だよ…もちろん、降りかかる火の粉は元から絶つけどね」
やっぱ雲雀さんこえー。多分今沢田も同じこと思ってるよ。顔に出てるし。
今も昔も相変わらず不機嫌な雲雀さんは怖いな。
「それと天宮空」
「え、あっはい!」
「この前の羊羹気に入ったよ。お礼にこの間のことはチャラにしてあげる」
あ、前に羊羹投げつけたことですね
「あ、ありがとうございます…」
「じゃあ、僕も忙しいから。決して風紀を乱さないようにね」
そう言って去っていく雲雀さんを見ながら沢田にちょんちょんと肩をつつかれた。
「ねぇ、羊羹とかこの間のこととかなんかあったの?」
「あー…いろいろあって持ってた羊羹投げつけた?」
「はぁ!?意味わかんないよ!てゆーかよく無事だったね!?」
「うん、自分でもそう思う…」
よく無事だったな、俺…。
遠い目をしている俺に気づいたのか沢田が同情した目で見てきた。まぁいろいろあったんだよ、うん。
“み〜ど〜りたな〜びく〜なーみーもーりーの〜”
とりあえずあの羊羹が気にってもらえたみたいでよかったと思っているとどこからか並中の校歌が流れてきた。
「あ、うちの校歌だ。どこから…?」
あ、確かこれって
「もしもし?」
「雲雀さんの着うた!?」
ですよね!!ほんと雲雀さん並中好きだよね。確か最後まであの人の着うた並中の校歌だったよ。
「あぁ、そう…」
みんながいろんな意味で絶句していると電話をしていた雲雀さんがおもむろにこっちを向いた。
「君たちの知り合いじゃなかったっけ?笹川了平、やられたよ」
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