空と夏祭り

ガヤガヤとにぎやかな並盛神社。
今日は年に一度の夏祭りとあって人がたくさん来ていた。浴衣の人も多く、空も母さんに着せられオレンジがかった、(決して女の子用に見えない)着物を着ていた。家族で来ていたのだが母さんと父さんはまるでデートのようにラブラブでいちゃつきながら回っているので二人だけでゆっくりさせている。
ふと周りを見渡すと見知った顔の人たちのお店があったので近づいて行く。

「やっほー、沢田たち出店出してるんだ?」
「天宮!」
「おっす!」
「テメェも来てたのか」

三人とも違う反応を返してくれるからこの三人組は見ていて面白い。

「うん。あ、俺にもチョコバナナ一本ちょうだい」
「ほらよ」
「サンキュ」

お代を渡すと隼人がチョコバナナを渡してくれた。
チョコバナナは普通に美味しかった。
どうやら出店を出した理由は前と同じでプールや町内会の修理代らしい。相変わらず俺も苦労してるな。これからも苦労の連続だけど頑張れ。きっといいことがある…はず。多分。
少しの間たわいもない話をしながらもぐもぐと食べていると遠くの人混みに雲雀さんの姿が見えたので見つかる前に離れようと話を切り上げる。

「んじゃあ、そろそろ俺は別のとこ行くな。出店頑張れ」
「うん、ありがとう!」
「あ、あと。最近店の売上が盗まれてるらしいから沢田たちも気を付けろよ。」
「言われなくても10代目の売り上げは俺が守てみせる!!」
「張り切ってるな、隼人。じゃあまたな。」
「またなーソラ!」

雲雀さんが近づいてこないうちにそそくさと人ごみに紛れるとその後も射的をしたりヨーヨー釣りをしたりとかなり祭りを楽しんだ。
途中、神社前で雲雀さんたちにひったくり犯たちがぼこぼこにされたと聞いたが売上は無事に守れただろうか?
そろそろ花火が上がるころだとこの前見つけた穴場でかき氷を頬張りながらドーンと打ち上がる花火を眺める。



花火の綺麗さは前とも変わりはなかったが、前とは違う一つしかない背中に少し寂しさを感じた。

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[mokuji]



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