空と黒い悪魔
「チャオっす。お前がソラか」
家のドアを開けると目の前には緑のカメレオンを連れた赤ん坊。
ついに来たか…と思う反面、懐かしい姿に喜びを感じる自分が居た。
怪しませないように俺は平凡、俺は平凡、と暗示をかけながら何も知らない一般人のふりをする。
「あ、赤ん坊…?確かに俺が空だけど…」
「…なるほどな」
なるほどって何!?なるほどって!?何考えてんのか分かんねぇ…!
「えっと…なんか飲む?そこにずっと突っ立ってるのもあれだし…」
「気が利くな。じゃあいただくぞ」
とりあえずリボーンを抱き上げるとリビングに向かう。蹴られるかと思ったかが意外と大人しくてびっくりした。…こいつ、山本の時といい俺にだけ蹴ってたんじゃ?と疑問が浮かぶがまぁ置いておこう。
「なにが飲みたい?」
「エスプレッソを頼む」
「了解」
赤ん坊なのにエスプレッソ飲めるなんてすごいな〜と言いながら手際よく作っていく。
ものすごく視線を感じるが無視だ。反応した後の方が恐い。
「はい。あとよかったらマフィンもどうぞ。手作りだから口に合うかは分からないけど」
「ありがとうだぞ」
器用にマフィンを食べながらエスプレッソを飲むリボーン。可愛い姿からは想像できないぐらい優雅に一口飲むと満足そうにテーブルに置いた。
「すげぇな。俺の好みな味だ」
「それはよかった」
生前、誰かさんに散々特訓させられたからね。気にいらない味になるたびに爆破された日々を思い出すが今ここで思い出にふけるわけにはいかない。
あっという間に平らげたリボーンはごちそうさまだぞと行って玄関へ向かう。
「え、もう帰るの?」
「今日は様子を見に来ただけだからな。エスプレッソもマフィンも文句なしだ。気に入ったぞ」
「ふーん。…あ、そうだ。よかったらいくつか持って帰りなよ。たくさん焼いてるから余ってるんだ」
はい、といくつかのマフィンが入った袋を渡す。
「ありがとうだぞ」
ciaoと言い残し帰っていくリボーンを見送ると一気に力が抜けほっと一息つく。
結局何も言わずにエスプレッソとお菓子を食べただけだったが何しに来たのか謎だ。
まぁ、ボンゴレに誘われなかったから一安心。と思っていたがこの日を境にリボーンはよくエスプレッソを飲みに来るようになった。
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