空と嵐



「あれは…もしかして獄寺君?」


夕暮れの公園に一人ブランコに座り込む獄寺。
いつも見かけるような元気は見当たらず俯いて何やら落ち込んでいた。

「…やっぱ俺、一人が向いてんのかな…」

「どーしたの?」
「うおっ!?…ってお前はたしか…」
「俺は同じクラスの天宮空。なんか元気がないようだけど…なんかあったの?」

こんなに落ち込んでいる獄寺を見たことがなく、心配そうにのぞき込むと相手は一瞬驚くが何度か口を開けるとポツリポツリと言い始めた。
マフィアの部分は上手く隠しつつ強化プログラムで沢田に迷惑をかけたこと。自分は仲間として必要じゃないのかもしれない。このままイタリアに帰った方が10代目のためなのかもしれない。
獄寺はなんで知らない奴にこんなに話しているのか自分でも分からなかったが、ため込んでいた思いを口にだすと止まらなかった。

「……10代目にとって頼りになるのは俺じゃなくて山本なんだなって…」
「そんなことないよ」
「…え?」
「沢田は獄寺君を頼りにしてるよ。確かに獄寺君は時々やりすぎちゃう時はあるけど、だからって山本の方がいいとか、必要ないとか絶対そんなこと思ったりしない。獄寺君はさ、初めての友達だったんだ…。だから10代目とか右腕とかそんな関係じゃなくて、ただの友達として隣に居てほしい」
「ぇ……」
「獄寺君?」
「10代目…?」

驚くように目を見開きながらぽつりと呟かれた言葉にハッと我に返る。いつの間にか自分の想いを口に出していたようだ。自分はもう沢田綱吉ではないのにまるで本人のように言ってしまった。

「あ、いや、沢田だったらそう言うんじゃないかなぁ〜って思って。彼奴、獄寺君が来てからすごい楽しそうなんだよ。いつもダメツナとかみんなからからかわれてて友達いなかったし。だけど最近の沢田はすごく楽しそうに笑ってるんだ」
「ほ、本当か!?」
「うん。偶に沢田と話したりするけどさ、獄寺君の話題ばっかだし」
「そう、だったのか…!」
「気になるなら沢田に聞いてみなよ。恥ずかしがるだろうけどきっと言ってくれるから」

じゃあ、俺はそろそろ行くね。と公園から立ち去ろうとすると獄寺に呼び止められた。

「あ、天宮!」
「ん?」
「その…話聞いてくれてサンキュ…」
「…どういたしまして!」

照れているのか少し顔が赤くなっていたが元気になったようでよかった。
前は彼がこんなに悩んでいたなんて気づいてあげられなかったが力になれなのならすごく嬉しい。
今は色々とやりすぎることが多いだろうけど、大空(綱吉)の右腕は嵐(獄寺君)だけだから。


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[mokuji]



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