ショートストーリー
2016/05/12 22:44

私はよく幼馴染である扉間の家に行ってご飯を一緒に食べたりしていた。
扉間のお父さんは族長で、よく一族会議などで家をあけることがあった、そんなときは私がいつも柱間あたりに呼ばれて、空いた座布団を使って夕飯を囲んでいた。

そんなある日、ご飯を食べ終えてごちそうさまでした、と皿を持って立った時向かいにいた柱間が○!!と血相変えてよんできた。え?なに?

「○○、座布団に血が付いているぞ!怪我でもしているのか?!」

嘘!と思って座布団を見ると薄緑色の座布団が赤く染まっていた。一瞬であ、初潮が来たんだ、と察したが恥ずかしさで固まってしまい、どうしようどうしようと混乱して泣きそうになっていた時。

「ああ、大丈夫だ兄者。それオレの血だ」

隣に座っていた扉間が口を開いた。

「扉間の?お前いつの間にそんな怪我…」
「いや、あー…鼻血だ、昼寝してたら寝てる間に鼻血がでていた」
「ははは!お前が鼻血とは珍しいな!」
「あぁ、まだ乾いていなかったようだな、すまん○○、服が汚れている。貸してやるから来い」

扉間はそのまま汚れた座布団にを片手にもつと、私の手をとって私をお風呂場に連れて行った。

顔を赤くして涙目の私をよそに、てきぱきと手ぬぐいと着物を用意して、「これに着替えろ。ウチはそんなに着物はないからすぐ返しに来いよ。手ぬぐいは別にもう使わないやつだから、好きに使って構わない」と言った。
なんだかこういうことになってしまって死ぬほど恥ずかしいし気まずかったけど、扉間の冷静な言動にほっとする。
と、扉間が座布団を持ったままお風呂場の方に入って行って戸を閉める。
すぐにザアと水の流れる音がした。

「ま、待って扉間!自分で洗うよっ!」
戸越しに声をかけると、
「いいから今のうちに着替えろ」
「でも、き、汚いよ…」
「汚くなんかない。血は見慣れている」
「…扉間」
「なんだ」
「…ありがとう…」



思い返せばそれが扉間を好きになるきっかけだった。


(扉間さんは生理とか理解有りそうだなという話)
(実は風呂場の中で扉間さんは「…あいつも女なんだな…」って意識しちゃってめっちゃ照れてたというオチ)


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