シチュだけ
2016/05/11 01:53

「○○、一体どうしたというのだ」
「来ないで…!」

暗い部屋の中布団に閉じこもる○○。
母親が死に、これで家族が1人もいなくなった悲しみは分かるがもう母親の葬儀を最後に部屋から2日も出てきていない。異様なまでに人の目に触れることを拒んでいる。
これはおかしい、確実に何かある。

「○○、何か隠しているのは分かっている。見せろ」
「…ダメ!見ないで!」

○○の布団を無理やり剥ぎ取り、顔を隠す手を掴むと、○○はゆっくりと俯いていた顔をあげた。
その目を見た瞬間、体が芯からぞくりと冷えるような感覚。

「…どうしよう扉間、目が、目がおかしくなっちゃったの、戻らないの…」

泣きながら話す○○の目は、戦場で何度も見ているうちは一族特有の写輪眼であった。

「…その目…いつからだ」
「…母さんの葬式の後から、勝手になってたの、でも戻し方も分からない、だから外にも出れない…!これ、うちは一族の目でしょ…?
どうしよう、扉間、助けて…」

○○は忍ではない、推測するにチャクラのコントロールができないため写輪眼を引っ込めることも出来ないのだろう。

「…落ち着け、とりあえず一度眠れ。体が休まれば自然と写輪眼も閉じるかもしれない、
その様子では一睡もしていないだろう、
オレがここにいてやるから、寝ろ」
「…扉間」
「…いいか、このことは絶対に他の誰にも言うな、この事が知られれば恐らく…ロクなことにはならない」
「いやだ、どうしよう、ねえ、扉間、私殺されちゃうの?どうして」
「殺させなどしない、いいから早く寝ろ」

泣きながら震える○○を抱き寄せ背中をさすっていると、しばらくして落ち着いたのか○○は寝息を立て始めた。
どうして○○がこの目を、まさか○○はうちはの者で拾われてきたとでも?
そんなわけはない、○○の出産にはたしかオレの母が立ち会ったと聞いている。では他にどんな可能性がある?○○が生まれるときにはすでに死んでいたという父親はうちはの者だった?密かに内通していたのか?

色々な考えが巡って混乱した。
しかし腕の中で眠る○○は紛れもなくもう10数年間共に過ごしてきた存在で。

その日から、オレと○○の間には決して他人には言えない秘密ができた。




※※※

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