ごちゃまぜ | ナノ




なんだろう。

ふわふわしてて、とても気持ちが良い。

いつまでもここにいたいな。


『姫君』


誰の声だろう?

凄く甘い声。

思わず、ときめいてしまいそう。


『ねぇ、オレは、お前を手に入れるよ?』


そう言って、自信に満ちた笑みを浮かべるあなたが、好き。

その声も、その顔も、その仕草も。

全てが私にとっては特別な物。

私の、大好きな人。

これからは二人で幸せに、そう、思っていたのに……。





 〜夢と現と〜





「あれ?」


気付いたら、私は学校にいた。

ついさっきまで、確かに京にいたはずなのに。


「どうかしたの?」
「まだ寝ぼけてんじゃねぇか?」
「先輩、起きてますか?」


心配そうに私の顔を覗き込むのは、一緒に京にいたはずの望美と将臣と譲。


「な、何で……?」


思わず呟いた私に、三人の視線が刺さる。

けど、私がまだ寝ぼけていると思っているのか、どこか呆れた物のように感じる。


「どうして戻ってきてるの?!ねぇ、望美!私たち、いつ京から戻ってきたのっ?」
「ちょっ、一体何の話??」
「先輩、落ち着いてください!」


望美の肩をガシッと掴んで問い詰めれば、本当にわからないのか、目を白黒させてる。

将臣と譲を見ても、望美と同じなのか、ただ首を傾げるばかり。


「あれは夢だったの……?」


望美から離れ、脱力する。

あんなにも鮮明に覚えているのに。

ヒノエの声も、私に触れる手の温もりも。

全部夢だったなんて、とうてい信じられない。


『ふふっ、可愛いね』


ほら、今だって耳を澄ませばヒノエの声が聞こえてくるのに。


どうしてここは、彼のいる世界じゃないの……?

涙で目の前がぼやける。

だって、ヒノエが隣にいない。

いつも一緒にいるって約束したはずなのに。

これが夢なら、覚めてくれたらいいのに。


頬に何かが触れる感触に、私の意識は浮上した。

目を開けてみるけれど、やはり視界はぼやけていて。

まだ私は彼のいない世界にいるんだろうかと不安になる。

もう一度寝て起きたら、今度はヒノエがいる世界に行けるだろうか。

そう考えながら、私は再び目を閉じた。


「おやおや。オレの姫君は、オレを放ってまた夢の世界かい?寂しいね」


あれ?

今聞こえたのって、ヒノエの声?


「お前の愛らしい寝顔を見てるのもいいけど、どうせなら、お前の夢にオレも招待してはくれないかい?」


頬に柔らかい感触を受けて、私は思わず目を開けた。

そうすれば、目の前には私の大好きな人の顔があった。


「ふふ、やっとお目覚めかい?オレの眠り姫」
「ヒノエ……?」
「怖い夢でも見たのかい?寝ながら泣いていたみたいだけど」


信じられなくて、ヒノエの顔に触れてみる。


「ヒノエだ……本物の」
「酷いな。その言い方だと、オレの偽物でもいるみたいじゃないか」
「そういうわけじゃないってば」


慌てて否定してから、はたと動きを止める。

どうして私はヒノエと一緒に横になってるんだろう?

外を見れば、すっかり日は落ちていて。

寝た記憶はないんだけど……。


「何だ、覚えてない?お前は宴の席で酒を飲んで、寝たんだよ。で、オレがここまで姫君を運んだわけ」


他の野郎に、姫君の寝顔を見せたくはないからね、と呟くヒノエの言葉は私の耳に届かなかった。


「覚えてない……」


どうしよう、まさか変なことしてないよね?


「さて、オレとしては、姫君が泣くほどの夢の内容を教えて欲しいんだけど。話してくれるよな?」


私の不安とは裏腹に、ヒノエが問いかけてくる。


怖い夢を見たら、誰かに話しなさい。


そう言ってくれたのは、一体誰だったかな。

今見たのが夢だったことにホッとしたけど、それが現実にならないとも限らない。

そう考えると、途端に怖くなった。

だから、ヒノエには話してしまおう。





「あのね……」





私が怖いのは、ヒノエがいなくなってしまうこと。


今この瞬間が、夢のように消えてしまうことだって。








うわぁぁぁんっ。
おきゃん様、遅くなってしまい申し訳ありません!(土下座)
ということで、ようやく相互記念の小説が出来上がりました!
主人公は望美と同級生で、一緒にあちらへ飛ばされました。
今回は一人称で書いてみましたが、いかがでしょうか?(ドキドキ)
しかもありがちで申し訳ないです(汗)

おきゃん様、気に入らなければ言って下さいね。書き直させていただきますので。
相互、有難う御座いました!

*おきゃん様のみお持ち帰り可
2007/8/17


 
 
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