いろは47音恋煩い | ナノ
どうしよう。
少し前までは、こんな事考えられなかったのに。
私が変わってしまったの?
それとも、変えられてしまったの?
「……悠」
名前を呼ばれる。
ただそれだけの行為なのに、浅ましくも私は期待してしまう。
これが初恋と呼ぶほど初心でもない。
それなのに、心臓は早鐘を打ったかのように鼓動を早くし、全身に熱が巡るのがわかる。
けれど、この時代は一夫多妻制が当たり前で。
それがわかっているからこそ、心は悲鳴を上げてしまう。
「……今日は随分と、積極的だな……。何か、あったか……」
「はぅっ、ん…………ぁっ、やっ……あっ、あぁぁっ!」
そんな私の心の内を感じ取ってか、無骨な手が幾度も私を上り詰めさせる。
全て吐き出してしまえと促すように。
けれど、言葉には出来ない。
一時の我が儘で彼が自分に興味を無くす方が、余程怖い。
獣のようにお互いを求めていれば、そんな痛みも忘れられる。
「知盛……もっと……」
「クッ……お望みとなら、幾度でも……」
麻薬のように、ソレを求め続ける私は、きっと変わったのだろう。
声を聞くと、うずく2008.4.17