『じゃあ、アタシがるくちゃんのママで、蔵がパパなんだ…』
『ママはママなんだろうけどパパはどうだろ?』
『、どういう意味?』
俺等のことを難なく言い当てる彼女を前に3人共、漸く理解し難いながら納得して。るくちゃんが言うにはクラスメイトの乾君と柳君と金色さん(どっかで聞いた名前ばっかやな)が作ったというタイムマシンの試作をしたらしい。
で、18年前に戻って俺等に会いに来たとか。
そこまではええとして、名前ちゃんはママで俺がパパやないっちゅうんはどういう事やねん。今の今まで俺にパパ言うてたやろ?
『なんかさ、微妙なラインっていうか』
『微妙って?』
『あたし、光とママの子供なんじゃないかって思うんだよね』
「は?」
『普通にあり得そうやんな』
『確かにあり得そうかも…』
「名前ちゃん否定せえへんの…!」
『言われてみれば光に目元が似てるし、だけど鼻筋とか口元は蔵っぽいような…』
「………………」
『あたしも皆から光に似てるって言われるんだよね』
只でさえ理解困難に陥りそうやのにそういう凹む事言うん止めてくれへんかな…るくちゃんて父親(俺)嫌いなん?俺の未来予想図では娘が出来たら顔は名前ちゃんソックリで、性格やって名前ちゃんソックリで溺愛してしまうんやろなって思てたのに…
そういや初っぱなに鬱陶しいとかうっざーいとか言われた気するわ…嫌われてるんや俺。生まれる前からソレを知らされる俺って何やねん。
「るくちゃんは俺の何が嫌いなん?」
『何それ自分で言ってて虚しくない?』
「その返しは無しや」
『えー?嫌いっていうか…男はやっぱり凛としてる方が良いじゃんか!常に引っ張って欲しいっていうかー、強引なくらいが良いしパパみたいに毎日毎日デレデレニヤニヤしてないでツンツンとかトゲトゲしてるのが良いかなって。相手するのしんどいし』
「……………」
『るくちゃん、それって光?』
『さすがママ!分かってんじゃん!あたし光と結婚するの!今日だって光に会いに来たって言っても過言じゃないし?18年前の光、若くて格好良いー!あ、今でも格好良いけどね』
『だって光』
『ほな結婚しよか』
『まじで!本当に?光好きー!』
「、それはあかん!財前はあかん!」
『………………』
実際、今此処に存在する俺はるくちゃんを育ててないし子供の実感なんや無いけど。せやけど娘と聞いたなら反射的に声が出た。
自分の娘が自分と変わらへん歳の男と結婚なんかあり得へんし。況してや財前とか。名前ちゃんだけやなくて娘まで盗ってくなんてほんまええ性格してるやんなぁ…!なんて葛藤してると何や恨めしい視線が2つ。
『パパは今も昔も変わんないよね』
「え?」
『何するにもあかんあかん。あたしももう高校生なんだから自分の事くらい自分で決められるし決めたいのに分かってくれない!過保護も度を超えると笑えないよね、ママだっていっつも失笑だし分かってくれるのは光だもん』
「………………」
まあな、俺が過保護なんは想像付くねんけどな…問題は名前ちゃんが失笑て。財前が理解してくれるって。
『18年後の部長は今よりタチが悪いとか大儀過ぎやで』
『蔵、ドンマイだよ!』
「名前ちゃんフォローになってへんから…」
もうええわ、るくちゃんの事はしゃーないとして今の俺が父親になった時は完璧な父親像目指したるから!見ときやるくちゃんも名前ちゃんも財前も!
大袈裟に意を決したみたく覚悟を決めた時、
『あ、そろそろ時間っぽい』
「、もしかしてもう戻らなあかんの?」
『試作品だからね1時間が限界って言ってた』
「それでも作ったんは凄いけどなぁ…」
『未来は日々進化してんだよパパ』
「そ、そやな」
台風の様な彼女の登場とマシンガントークには驚かされてばっかりで脱帽な気分やったけど、
『ママ!』
『、』
『パパと光好き?』
『――うん!好き!』
『じゃあ良い、皆に会いに来て良かった!それとパパ』
「うん?」
『光も好きだけどパパもちゃんと好きだから泣かないでね』
「――――――」
彼女に逢えて良かったなぁって思えた。彼女が俺に逢いに来てくれて嬉しいなぁって思えた。
『、消えちゃった…本当夢見たい』
『凄まじい女やったな』
「あ、何やテーブルの上に――」
魔法みたいに一瞬で消えた彼女を見ると3人同時に同じ夢でも見たんちゃうかなって不思議になる。
でも彼女が残して行った1枚写真は、俺が赤ちゃんを抱っこして隣で名前ちゃんが笑ってて、更に横に財前が“るく”っちゅう命名を持ってたから…近い未来、3人が彼女に逢えるように楽しみに待ってようと思う。
(彼女が高校生になった時)
(あの写真をプレゼントしたい)
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番外編でした。
今回はメール機能はありません。
というかメール機能がどうとか問題ではなく!中途半端に青春的な雰囲気が恥ずかしくて堪りません。笑える話しにする筈だったのに何処で間違えたのかも分かりません終わってます(-_-)
そしてるくちゃんひねくれ過ぎな件と蔵の扱いが酷くて何処もイケメンじゃない件については深く謝罪したいと思います申し訳ありません…!(そもそも蔵の子供ならあんな子じゃなくて容姿も中身も完璧な筈ですね!)
こんなお話に付き合って下さり有難うございました!
(20100304)
(3/3)
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