Sincere love | ナノ


 

 sequel.4
  Hand held out (2/2)




『……は、』

「もう、会わないって言われたの」

『…………』

「だから話合うって言っても駄目なんじゃないかな、」



家に来るなって言ってたんだもん……
会いたい、会いたいよ蔵…



『せやから部長……』

「え?なに?」

『…せやったら尚更行かなアカン』

「、どして?」

『お前は部長に伝える事あるやろ?』



それでも蔵が好き。

それを伝えに……?



「……うん…」



会いに行って迷惑がられるかもしれない。アタシの話なんて聞いてくれないかもしれない。
それでも伝えたい……



『で?』

「で?って?」

『ちょっと部長に凹む事言われたからってお前は忍足さんに慰めてもらってたんかって聞いてんねん』

「ち、違うよ!」



光は何処か怒った様子でアタシを横目で見てた。

そんな慰めてもらったなんて…!
そ、そりゃ何も無かったわけじゃないかもしれないけどあれは不可抗力ってやつで……!



「侑士君、倒れちゃったから部屋まで運んで看病してたの!そしたら蔵から電話があって…」

『へー』



絶対信じてない…!
この疑った顔は絶対信じないって顔じゃん!本当なのに…



『……名前、』

「なにー、嘘じゃないよ…?」



アタシより少し背の高い光を見上げると、光の手が急に伸びてきて。

た、叩かれる……!?
やだやだ何で!



『阿呆』

「へ?」



怖くて目を閉じると頭がくすぐったい。
撫でられてる?
でも阿呆、って……



『つらい時は俺に連絡してこい』

「ひか、」

『何の為に俺が居る思てんねん』

「………」

『彼氏とはちゃうけど…お前1人くらい助けて守ったる器量はあるつもりやで』

「―――……」



軽く頭に置かれてただけの手が無造作に動いてアタシの髪がグシャグシャになる。



「な、何すんの!」

『俺がわざわざセットしてやったんやん』

「…もー、ぐちゃぐちゃじゃん……っ、馬鹿、…」

『馬鹿は言いすぎやろ』

「だって、あんなの……」



ズルいよ、あんな言い方されたらこれからも光に甘えちゃうじゃん…



『ええから。電話してくるんやで?分かったか?』

「………」

『返事が聞こえへん』

「うん、分かった」



もし、蔵と出逢わなかったらアタシは光を好きになってたと思う。
光は蔵みたいに甘い言葉は言わないだろうけどきっと彼女を大事にする。光の彼女になれたら幸せなんだろうな……
でも、アタシは蔵じゃないと嫌なんだ。



「光好き。蔵の次に」

『……嬉しないわ』

「アハハ、ごめん、でも好き」

『まぁ、そんくらい言うてもらわな割に合わんな』



そう言うと行くで、ってまた手を差し伸べてくれた。

恋愛感情とは違うけど、その手が愛しい。



「よし、行くでー!」

『関西弁似合へんな、キショい』

「き、キショいは酷くない!?」

『酷ないわ。……っ、』

「っぶ!、光?」



光の手を握って足を進めた瞬間また立ち止まる光にぶつかってしまった。

向こうを見る光の視線の先を見ると、



「く……ら…?」

『名前ちゃん……』



会いたいと願ってた蔵が居た。
だけど横には知らない女の子……

その子、誰……?



『…………』

「く、蔵、アタシ『部長奇遇ですね』」



、っ光?!
アタシの言葉を消すように光は喋りだす。



「光、アタ《ええから話合わせて》」



アタシの耳元で小さく言うと、肩を組んで引き寄せられる。

な、何言う気……?



『その人、部長の新しい彼女です?』

『まぁ、……』



否定しないの?
新しい、彼女…
その子が……?本当に…?



『俺等もさっき付き合い始めたんですわ』

『、そら良かったな。ほな俺等は行くで』



良かったな

その一言がアタシに酷く突き刺さった。
蔵は本当にアタシとは終わってしまったの………?





(story.4 END)



…2/2 page
prevnext



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -