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それから10分ほどでリフトは降り場に到着した。
降りたときバランスを崩しかけたわたしを2号が支えてくれて、周りの女性陣に睨まれたがまあ気にしない。

現在進行形でも睨まれてるけど、そんなことを気にする余裕もない。


「階段、キツくない!?」

リフトからかなり坂道を歩いたのに加え、やっと境内に入ったと思ったら階段、階段、階段。
しかも人が多すぎて全く前に進まないため疲労も倍増だ。

「「別に?」」

「…………そういえばアンタ達バスケ部だったっけ。がっつり体力作りしてるっすね」
「私も大丈夫だけど…ゆずりはちゃん、もう疲れちゃった?」
メイちゃんは天使の如き笑みを浮かべながら振り向いた。

「うん。だって全く運動してないもん」
「そんなことで胸張るなよ」
「体育だって大体サボってるし、うん胸張れる」
「いやもっと違うだろ」
青は呆れたように言いながらも、歩調を緩めた。



「何で2号なんすか、ゆずっち」
やっと本殿が見えてきた頃、2号は突然そう言った。
「はい?」

「ゆずっちって皆にあだ名付けてるじゃないすか。桃っちはさつきだから英語でメイ、青峰っちはまんまっすよね。
けど、俺の名前に2なんて入ってないッスよ!?」

「いやいや、全員にあだ名付けてる訳じゃないんだけど……」
「へー? 名前覚えらんねぇからあだ名つけてんじゃねぇの?」
なぜか青が反応を示した。

「面白い人にしかあだ名なんて付けないし、興味のない人は名前呼んでない。どうしても覚えなきゃいけない相手はそのまま呼ぶことにしてるけどさ」

言われてみれば、なんで2号にしたんだっけ。

「あ、思い出した。イケメソ2号だ。で、略して2号」
「じゃー1号もいんの?」
青の言葉に、舞い上がっていた2号は一転、ショッキングな表情を浮かべた。

「それ誰!?」
「帝」

「えーっと……赤司君かぁ。って赤司君!?」
3人ともUMAでも見たような目をわたしに向けた。

「マジか」
「なんで? 綺麗な顔してんじゃん」
「そうッスけど…あの人は容姿とかとは次元が違うところにいるっつーか」
「とりあえず初対面の人はあの雰囲気にのまれるよね……私も慣れるまで怖かった」
どんな神話が作られてるんだ、帝。

「別に第一印象も悪くないし、彼、面白いから好きだよ」
言ってしまってから、しくったと思った。ちょっとフォローを入れないと。
「まあ、でも……」

背低いからナイよ、と続く筈だった言葉は、突如聞こえてきたか細い声によって遮られることとなった。



「あれ……渡、さん?」

階段を下りてきた家族連れの少女は、見覚えのあるクラスメイトだった。



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