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「ちょっと大ちゃん!? どこフラフラしてんの!!」

聞き覚えのある可憐な声が後ろから聞こえてきた。

「うっせぇな。わーってるよ、そろそろ打ち合わせだろ? それより、うちの学校の席ってどこだったっけ?」
「はあ!? 一体何言って……あら、この子は……」

青を怒鳴りつけたのは、この前道でぶつかった桃色の巨乳美少女だった。ヤバいほどに目の保養だ。
「渡ゆずりはです。今日一日、お世話になります」
「うわ、気持ち悪っ。なんだそれ」
「失礼な。野郎とお嬢さんの扱いは変えて当然でしょうが」
可愛いのは正義だと思う。

「あ、うん。私は桃井さつき。よろしくね、ゆずりはちゃん」
「こちらこそよろしくねー。はい青、さっさと行ってこい」
「へーへー、邪魔者は退散しますよっと」

だんだん遠くなるその後ろ姿を見送っていると、メイちゃんは少し驚いたようにわたしを見つめた。

「なに? あ、この格好は午後、家の用事で」
「違う違う。そうじゃなくて、大ちゃんが面白いなあと思って」
「それで何でわたしを見るの?」
「ふふっ。とにかく、我が帝光中本部に案内するね」

そういえば青の名前は大輝だったな、なんて思いつつ、メイちゃんの後についていく。究極おめかしのせいか、通路の通り抜けの途中、そこかしこから不躾な視線を感じた。

「ゆずりはちゃん、顔が物騒よ?」
メイちゃんは前を歩いているというのに、わたしの表情が見えるようだ。
「母親を呪い殺したいなあ、と」

「一体何が!? ……うん、まあそれは置いといて、大ちゃんから私のことなんか聞いてる?」
「幼馴染ってことぐらいかなあ」
わたしがもし青だったら即彼女にするのに。こんな巨乳の可愛い子とずっと幼馴染なんていっそ拷問だと思うのだけれど。


「そっかー、じゃあ私がバスケ部のマネージャーってことは知らないよね」
「うん初耳。マネージャーって何人ぐらいいるもんなの?」
「普通は3、4人いると思うけど、ウチの部……ていうか一軍の場合は特殊で、私一人かな」

「そりゃメイちゃんと釣り合う女の子はなかなかいないだろうけど、大変だろうね」
「メイ……ああ、さつきだから、って、そんな理由な訳ないでしょ。増やそうとしたこともあったんだけど、部員目当ての子ばっかだったから赤司君が怒っちゃって」

それは想像に難くないが、学校でのメイちゃんの扱いはどうなっているのだろう。
「……帝も酷いね」
「そんなことないよ? 人手が足りない時は三軍の子こき使ってるし、大体、バスケが好きだから」
「そうじゃなくて、女の子からの風当たり強いでしょ? そーゆー系の女をあしらうのって大変じゃない?」


すると、メイちゃんは急に足を止め、わたしに向き直った。



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