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仕方ない。
携帯を叩きつけたい衝動にかられる自分とは、電源ボタンの連打で何とか手を打った。

「そーゆーことで今すぐ帰らなきゃいけないんだけど……何爆笑してんの」

青もミドリさんも声こそ出していないが、肩を小刻みに上下させている。

「お前が母上とか……」
「そ、そんなキャラじゃないのだよ」
「とりあえず殴っていいかい?」
わたしだって好きで呼んでいる訳ではない。

「落ち着けよ渡。悪かっ…ぶふっ」
「まずお前が落ち着け」


「で? 貴様の母上からは何の用件だったんだ?」
「婚約者について話すから帰ってこいだとさ

「……コニャック酒?」
青の耳は飾り物のようだ。
「こ・ん・や・く・しゃ、だよバカ。一体全体どんな耳してんの」
「こんなみ「ドヤ顔やめれ」…んだよ」

「だが、さすがは渡カンパニーの令嬢だけはあるな。その年で婚約とは、かなり常軌を逸しているのだよ」


「そこはもう、割り切るしかないから」

つい口をついてしまった本音に、笑ってごまかすことしか出来なかった。



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