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「今日の最下位は、ごめんなさい! かに座のアナタ! 今日一日イライラすることが多いかも。でも大人の余裕で受け止めてあげてね☆ ラッキーアイテムは数学の参考書! 持ち歩きましょう!
それじゃあ今日も元気に、いってらっしゃい!」

おは朝の時報が、午前7時を告げた。








清桜学園の制服には定評がある。

しかも、お嬢様学校としても有名なため声をかける輩も多い。
そんな訳で、帰宅が何より嫌なわたしは当然制服のままで街をうろつくことになり、ナンパなんて日常茶飯事だったりする。

「あれ? 1人だよね〜? 清桜学園のコでしょ」

声を掛けられたのは、図書館へ行く途中、駅で抹茶ラテを買っている時だった。
「まあ、そうみたいっす」
「ははっ、そうみたいって、面白いね君」
「どうも。じゃ、急いでるんで」
さっさと立ち去ろうとするが、ナンパ男がわたしから離れる気配は無い。

「えーつれないな〜。俺、いつもはこんなことしないんだよ?」
「定型句、って感じっすけども。ストーカーみたいについてくるのやめて」
「なんだよ〜? せっかく可愛いのに、」
「知ってます」


どうやって撒こうかと思案しているところに、聞き慣れた低音が降ってきた。

「ふつーそこ自分で言うかぁ?」
「なるほど、例の女はこいつか」

顔を上げれば、目の前に青と頭が緑の知らない男が立っていた。日本人離れした身長の男が2人も並ぶとさすがに辺りからの視線が集中する。

「ぎえ!? 連れがいるなんて聞いてねぇぞ!!」
「言ってないし。緑の方は知らないし」
緑男は、驚いたことに青より身長が高い。思わず見上げていると、緑男は黒縁メガネを引き上げながらわたしを睨めつけた。
なんとも感じの悪い奴だ。

「へぇ。お前をナンパするツワモノなんていんだな」
「何? 喧嘩売ってんの?」
「本当のことだろバーカ。な、緑間もそう思うだろ?」

「フン、青峰と付き合っているというから、どんな奴かと思えば。何なのだよ、このチャラチャラした奴は」
「どこの父親だ。しかも付き合ってないし」
緑の男の肩越しに、ナンパ男が流星の如く走り去っていくのが見えた。


プロセスはどうあれ二人のおかげで助かったことには間違いない。礼を言おう、心の中で。

「で、青。この人誰?」



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