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校長による進学拒絶宣言から2週間が経った。
授業は6割サボり、宿題の提出なんかもってのほかのわたしだったが、仕方なく勉強している。家の滞在時間は少しでも短くしたいから図書館をセレクトしてみたものの、
まあそんなすぐに真面目になるはずもなく。
自習スペースで、わたしはいつ終わるともしれないペン回しの成功回数を無心に数えていた。
102回。
最高記録を達成した途端、携帯のバイブ音がメールの着信を知らせた。
送信者は、青峰大輝。一瞬首を傾げたが、数日前にメアドを交換したことを思い出した。
けれど、そのメールの内容に絶句することになる。
【暇。】
どう見直しても1字しか見当たらない。軽い殺意すら感じながら、わたしは返信ボタンを押した。
【現在図書館にて勉強中につき却下。】
ペン回しにイライラをぶつけ始めると、近くにいた大学生がぎょっとしたようにわたしを見た。
再びバイブ音が鳴る。
【どこの?】
携帯の時計は4時前を差していた。まだ部活はやっている筈の時間だ。
【世田谷区中央図書館。部活はないの?】
返信はすぐに来た。
【サボり。家に帰ると親がうるさいから屋上で昼寝中】
コンクリに囲まれた空間で1人寝転がる図を想像し、笑いがこみ上げてくる。シャーペンを置き、本格的に勉強を放棄することにした。
【誰か探しに来ないの?】
【来るけど、赤司以外だったら適当に追っ払う】
【帝だったら?】
【全力で逃げる】
思わずぶっと吹き出してしまい、慌てて口元を押さえる。
【帝の威力パネェ】
【いやマジで恐怖だから。背後に魔王見えるぜ……おっと誰かが来たようだ】
【まさかの死亡フラグ??】
本当に本人が降臨したのか、メールが来なくなった。心中で合掌しつつ、また数学の教科書に意識を戻す。
数学、やらないと。
わたしの自由の為に。prev/next
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