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「へー、変態も着物なんて着るんだな」

開口一番、恐喝だ、強請だのと訴える気力も失せる。
「帝はいないの、青野郎」
「「ミカド?」」
大方、この襲撃はあのイケメソの入れ知恵だろう。青野郎にそんな頭があるとは思えない。

「あの、赤い髪の鬼畜。この前いたじゃん」
「……もしかして赤司君のことっすか。確かに帝王っぽいけど」
2号は納得したように呟く。

それにしてもどっかで見たような顔だな、と見上げていると、2号は爽やかな笑顔をここぞばかりにふりまいた。

「自己紹介がまだっしたね。俺、知ってるだろうけど黄瀬涼太って言います。よろしく」
「ああ、モデルの。そっちは?」
水色い方に話題を降ると、2号は愕然としていた。

「……黒子、テツヤです」
「あれ? なんでそんなにびっくりしてるの?」
水色はパチパチと何度も瞬きをした。

「初対面の人に存在を気付いてもらえることが滅多に無いので」
「悲しっ!?」

ふわふわ系の男の子なのに何故こんな奴らとつるんでいるのだろう、と頭を巡らせ、ふと帝の言葉を思い出した。
「あ、もしかして部活つながり?」
「まあ、そういうことになりますね。出来れば帰りたいんですけど……青峰君が無理やり」
「ご冥福をお祈りいたします」


「おいおい、自己紹介はそれくらいにして、さっさと行こうぜ」
青野郎は物珍しそうにきょろきょろと校内を見回している。
「せいぜい3、4人に囲まれただけで慌ててたくせによく言う」
「僕は慣れてますけどー」
2号は青と水色から同時にどつかれた。

「女子校舐めんなよ。いくらお育ちがいいとは言え、皆さん男に飢えすぎて野獣ですから」
「野獣って……」
現に、男3人組を狙うギラギラした視線をそこかしこから感じる。

「じゃあ手っ取り早く、どこの部が1番巨乳多いんだよ」
「ちょっと青峰君。仮にも女の子の前ですよ」
ほくろクンは、苦笑しながらたしなめた。

「ん〜、胸ならバレーかソフトボール。顔なら演劇、清楚系なら体操。足も体操かな。陸上と水泳はボチボチ。ちなみに、学校で1番スタイルが良い先輩はバレーにいるよ。Gカップあるんじゃないか説もある」

ほくろクンも2号も、文字通り目が点になった。

「な? こいつを女扱いするだけ無駄だろ?」
「何そのドヤ顔超むかつく」
「……ゴホン。ところで、渡さんは部活どこに所属されているんですか? 和服ですけど」
ほくろクンは一連の流れを無かったことにした。

「茶道部。あ、そうそう、まだシフトの途中でさ。今から3人とも来る?」
「へいへい、売り上げに貢献すりゃいいんだろ」
「ついでに客寄せパンダになれ、と」
「大正解〜よく分かりました〜」
パチパチと手を打つと、2号は真顔でわたしを見つめた。

「ゆずりはちゃんって普通に可愛いのに、」
「やだ、デルモに言われると照れる」

けれど、舞い上がれたのは一瞬で、

「中身が残念すぎて容姿なんて超越しちゃってますよね」
と、ほくろクンは小さく付け足した。
「ほくろクン、もっぺん言ってみ?」
これはこれは良く伸びるほっぺだこと。

「ずびばぜんでぢだ。いだいでづ。やべでぐだざい」
「あ? テツがほくろ?」
「青峰っち、黒子ってほくろとも読むんすよ」



そんなこんなで、クソ目立つトリオは我が茶道部へ。



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