36.刺青


「ねぇ…」

貴方が本当に"私"のものになるのなら

「"印"を刻まなきゃね」

私は言葉だけなんて信じられない
貴方が私だけのものというならちゃんと証拠もないと

「好きにすればいい…俺はお前のものになるって決めたからな」

「そう?だったら」

印をつけて
貴方を私のものだと貴方にわからせつづけないと

「ここに刻みましょう」

貴方の左胸に触れている手に鼓動が伝わる
あたたかく生きているという証明

「見えるところじゃなくていいのか?」

なぜ?私は他人に見せつけたいわけじゃないし

「私と貴方だけが見える場所ではないと意味がないわ」

それにだってこれは保険なのだから

「私たちだけの"印"を他の人が知っているなんて虫酸が走る」

貴方が"私"を裏切った時に

「"印"を貫いてあげる」

私の手で

貴方の"死"も私のものなのだから