71.なにも感じない


そっと首筋に触れる手は白く、こちらが触れたら逆に壊れてしまいそうな細い指、だんだんと首を絞めてくる。

「ねぇ?苦しい?」

口元に笑みを浮かべ、そう問い掛ける彼女はとてもとても楽しそうに笑っている。

「…抵抗しないの?」

こちらが抵抗しないのが不満らしく、笑っている表情からむくれた表情をする彼女はまたにんまりと笑みを浮かべ、耳元で甘く囁く。

「ねぇ、逃げたい?生きたい?」

逃げたいし、生きたいでもその選択肢は既になくなっている。
ただ、死を待つだけなのだから。


「ねぇ、あなたはなんでこんな事になったと思う」

そんな事はわからない、知ってもどうにかなるなんて思わないから知りたくない。

「つまんないわね」

そう言って彼女は興味をなくした瞳で、カラダに繋がったコードを引き抜いた。

「おやすみなさい。いい夢を」

あぁ…やっと…眠れる…。
そう瞳を閉じた人だったモノの隣で少女は

「あら、あんまりにもつまらなかったからつい抜いちゃった」

くすくすと笑いながら部屋を出て行った。