雨は嫌いだ。
うっとおしいし、身体が軋む気がする。
しかも雨ってやつは、傘を持っていない時に限って降ってきやがる。
全くもって気にくわない。
別に濡れて帰っても構わないが、今日はそんな気分でもなかったから、その辺の雨宿り出来そうなとこに急いで潜り込む。
溜め息を吐いて、空を見上げる。
空の色は相も変わらず灰色で、途切れさせることなく雨を降らし続けていた。
暫く止みそうにもない。
とめどなく降り注ぐ雨に舌打ちを一つ零した。
「お前、傘持ってねぇの?」
イライラしながら待っていると、隣から声を掛けられたらのに気づく。
その声に聞き覚えがあり、ハッとしてその方向に顔を向けた。
そこには傘をさしたラクサスが立っていた。
「…傘なんか、持ってるわけねぇだろ」
「まあ持ってたら雨宿りなんてしてないよな」
ラクサスは大袈裟に肩をすくめながら、面白いとでも言うようにクスリと笑った。
コイツには笑顔が似合うな、と柄にもなく思う。
って、そんな事考えてる場合じゃない。
「で、何か用か?用があるから声かけてきたんだろ」
ラクサスは俺の言ったことに、「何を言ってるんだ」とでも言いたそうな顔で目を丸くした。
「別に、ただ暇そうに雨宿りしてんのが見えたから声かけただけなんだけど」
「…は?」
今度はこっちが目を丸くする番だった。
コイツからいきなり発せられた言葉に、一気に顔へ熱が集まる。
コイツが俺に?
何の用も無いのに、さも当然のように声をかけてきた?
それはある程度気を許されているって事だよな……
むず痒い感覚が足元からせり上がってくる感じがした。
きっと赤くなっているであろう顔を申し訳程度に逸らす。
「用がなきゃ駄目ならアレだ、これからギルドまで行くから入れてやっても良い」
どうせ雨が止むまで此処にいるつもりだったんだろ?と笑いかけてくる。
図星を付かれたが、不思議と嫌だとは思わなかった。
「…狭くなんぞ」
「別に気にしねぇよ」
男二人で傘を挿して歩く。
当たり前のように狭い、が何故かそれが心地よかった。
……相合い傘だなんて思ってない。
ある雨の日の昼下がり。
こんな事があるなら雨の日も悪くはない、と思った。
後書き
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甘いようなそうでないような。
友達以上恋人未満ってやつですね!!
どうやら私はゲロ甘よりほのぼの派らしいです。
ゆったりいちゃいちゃしてるのが一番かわいいと思うんだ…
あとはピンクな雰囲気とかね!
ちなみにこれを書いたときは別に雨は降ってませんでした^^
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