ある寒い日

今日は寒いらしい。
ギルドの誰かが言っているのが聞こえる。
俺は他人より体温が高いせいか、別段寒いとかは思わなかった。

(こういう日は依頼に行く奴が減るから暇だ)

特にする事もなく机に突っ伏す。
ただボーっと周りの会話に耳を傾けていると、ギルドの扉が開く音がした。

音がした方向に目を向けると、入ってきた人物と視線がぶつかる。
つまり、ラクサスと。

一瞬ドキリと胸が鳴る。


暫く視線を合わせていると、ラクサスが「お前は寒くなさそうだな」って苦笑した。


「おお、全然寒くねぇ。」


「むしろ温めてやろうか」と殴られる覚悟で言ってみたら、想像していたものとは違う言葉が返ってきた。


「じゃあ温めてもらおうか」


そう言ってラクサスは俺の正面の椅子に腰かけた。
目の前に手が差し出される。
恐る恐るその手を両手で包むと、ヒヤリとした感覚が流れ込んできた。

いつもは振り払われる筈の手が受け入れられて、少し頬が熱くなる。


「ああ、やっぱりお前は温かいな」


俺は照れくさいのを隠すために、「そうだろ」と笑顔で言う。
抱きつきたい衝動を抑えながら、そのまま暫く手を握った。


このままこの温度と一緒に溶けて、交わってしまえれば良いのに。

そう考えながら、俺は目を閉じた。









後書き
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これがバカップルですね。
ギルドでいちゃいちゃしていると、後に試練(冷やかし)が待っています。

でもラクサスは全然気にしてない(というかイチャついてた自覚なし)
そしてナツだけドギマギしてれば良いよ!!


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