Novel
04

「悪い…俺、好きな奴いる、から。」

最悪だ。そういえば珍しく滅多に見ないおは朝の占い、私の星座は最下位だったっけ…。なんて、冷静に思い出してみる。
なんてありきたりなシチュエーションなんだろう。まさか彼の告白現場に居合わせてしまうなんて。

「好きな人…いるんだ…。」

初めて知った彼の好きな人の存在。それはつまり失恋決定というわけで。

「まだ…バレンタインデーきてないよ…。」

今年こそは絶対に渡そう。そう決心したばかりだった。それなのに…。
どうして私はこんなにも運がないんだろう。せめて告白して、彼の口から、彼の目を見て、直接聞きたかった。彼の言葉で、私を諦めさせてほしかった。
それなのに…。

「最悪…。」

ぽろりと涙がこぼれる。私はその場に疼くまって静かに泣いた。
もうすぐ次の授業が始まってしまう。なんとか止めないと。そう思うもののそんなに簡単には止まってくれなくて。
その時、突然私の視界を影が覆った。

「苗字…?」
「ふ、くい、君。」
「え、ど、どうした?どっか痛いのか?転んだか!?怪我とか…!」

本当に今日は最悪だ。まさか福井君に見つかるなんて。こんな涙でぐしゃぐしゃな顔を見られるなんて。
恥ずかしくて、虚しくて、哀しくて。
ごめん。ごめんね。こんなめんどくさい女の子なんかが福井君のこと好きになっちゃって。
心の中で何度も何度も謝った。彼はどうしたらいいのか分からないらしくきょろきょろと目を泳がせている。

「ごめ、ん…だ、いじょうぶ。大丈夫だから…。」
「…。」

そっと、頭を撫でられた。優しく、暖かい。私よりも大きな手でゆっくり撫でる。
ああ、今、すごく幸せ。幸せなのに…。
やっぱり涙は止まらなかった―。

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