空が灰色の雲に覆われている。 昴は空を見上げたままふぅと一息ついた。 一雨くるかもしれない。 そう思いつつ、試合に集中しようと深呼吸をする。 彼の視界にはダブルスの相方であり、一番近い存在である双子の兄がいた。 その背中はとても頼りになる。 安心したのか、それとも自信があったのか、落ち着いてサーブを打つことができた。 司「ナイスショット!」 昴『あと1ゲームとれば、オレ達の勝ちだな!』 司「油断はできないよ?」 分かってる。 そう言えば司が笑った。 と、聞き慣れた声援が聞こえ、観客席を見てみると、そこには来れないと言っていた親友の姿があった。 隣には妹の楓もいた。 遠い他県に住む彼は親同士の仲がよく、幼馴染みでもある。 そう言えば、どこの県に住んでいるのか未だに知らないな…。 なんてことを浮かべながらも、手を振った。 ≪ | ≫ [Back] |