初めてお前を見た時、表情には出さなかったけど

すごく驚いて、あいつじゃないのに涙が出そうだった

それだけ、お前とあいつはそっくりで―。









昴『(まぁ、性格はまったく違って拍子抜けしたけどな)』



たくさんの花見客で賑わう出店

その中をオレは1人、走り回っていた

迷子になったユウジを手分けして探しているのだが、まったくそれらしい人物は見当たらない

小春がユウジの携帯に何度か電話しているのだが出る気配もなく、オレ達は困り果てていた




謙也「ユウジ?って昴かい!」

昴『悪かったな!』

謙也「お前等髪の色似ててややこしいねん!」

昴『そんなこと言ってる暇あったら探せよ!浪速のスピードスターなんだからちゃっちゃと行く!』




おいおいこれで3回目だぞ?

たしかに、オレとユウジの髪の色は似ている

でもいい加減何度も間違えられると傷つく…ってかバンダナ巻いてねーんだから気付けよ!




謙也「しゃーない…俺こっち行くわ」

昴『ん、じゃーオレこっちな』




謙也と別れてから、オレは人があまりいないところへ出るため、人混みをかき分け始めた

人混みだとどうも疲れるしこれだけいろいろなところを探してもいないのだ

もしかしたら出店から外れているところにいるかもしれない

そう思って、歩を進めたオレは聞き逃さなかった






一氏「だいじょーぶやって!すぐ見つかるからな?」






ユウジの声。どこからだ?

オレは周りをキョロキョロと見渡す

しかし、見当たらない。

見えるのはまったく見知らぬ花見客ばかり

すると、再びユウジの声が聞こえた





一氏「泣いてばっかいたら福がこないで!ほら、笑う門にも福きたる言うやろ?」





あっちだ。

反射的に大きな桜の木に向かって走り出した

人混みをかき分けて、声を追いかけた

そして、






昴『…っ』




人混みから脱出した瞬間、息をのんだ

そこにいたのは、泣いている女の子とオレに似た髪の色

後ろ姿が、子供をあやす姿が、

あいつそっくりで、




















『ひっく…うぅ…ひっく…』

「だいじょーぶ!兄ちゃんがついてるからな!お母さん達もすぐ見つかるから、兄ちゃんに笑顔見せて。楓には笑顔が一番似合ってるだろ?」


















昴『つ、か…さ?』

一氏「昴!」

昴『え…あ、ユ…ジ』






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