昴『司…。』 ある晴れた日の土曜日。 オレは部活を休んで司の眠る寺にやってきた。 ここに来たのは4月のあの日が最後だったから結構な間来ていない。 まだ緑だった銀杏の木は今では鮮やかな黄色に変わっていた。 慣れた道を通り、司の元までたどり着いたオレは持ってきた花を飾り、両手をあわせる。 昴『司、オレやっと前に進めた気がする。』 今まで、たくさんの人に迷惑をかけた。 昴『仁王にはたくさん世話になった。』 でも、仁王はオレを見捨てなかった。 昴『新しい友達は、オレにたくさんのものをくれた。』 テニス部のみんなの言葉が、オレを救ってくれた。 昴『オレ、四天宝寺であいつらに出会って、毎日一緒に馬鹿やって、』 それが楽しかった。 昴『久しぶりに、笑ったよ。』 四天宝寺に入るまでは、笑うことを忘れていた。 昴『みんなが、思い出させてくれた。オレ、』 四天宝寺であいつらに出会えて、 本当に、よかった―。 26.亡き人に伝えよう。 (これからは、前だけ見て進むって決めた。今までありがとう、司―。これから、見守っててくれよ。) ≪ | ≫ [Back] |