『ゲームセットウォンバイ司・昴。6-3』 オレの周りが歓喜に包まれた。 決勝戦が今、終わり優勝ペアが決まったのだ。 隣では司が喜んでいる。 もちろん、オレだって嬉しい。 なのに、 昴『(なんか、変だ)』 何が?と聞かれれば答えることはできない。 しかし、何か、嫌な予感がする。 空を見上げてみると、頬に冷たいものが降り注いだ。 雨だ。 そう思った時だった。 妹の楓が手を振りながら駆け寄ってくるのが見えた。 その後ろをゆっくり歩く仁王。 ああ、優勝したんだな。 やっと、実感して、喜びが込み上げてくる。 しかし、それは脆く、消え去った。 次の瞬間、オレが見たのは親友の真っ青な顔と、飛び出し手を伸ばす双子の兄。 そして、大好きな妹に猛スピードで向かってくる一台のトラックだった―。 24.あの日 (あの日、あの時、オレの日常に亀裂ができた) ≪ | ≫ [Back] |