部活が終わって先輩は全員帰ったころ

俺は未だに部室のベンチに座っていた

そんな俺を横目で気にしつつ白石達が着替えている

俺は、未だにユニフォームのままだった



昴『…謙也?いつまでそうやってんだよ』



苦笑いを浮かべて俺に声をかえる昴

白石はどこか不安げに俺を見とる

ユウジの表情は俺から見えない



昴『謙也、今日おかしくねーか?具合でも悪いのか?』

白石「アホ。謙也が風邪ひくことなんてめったにないやろ」

昴『それもそうか』



そう言って笑う2人を見て悪態をつきたかったがやめた

代わりに出た言葉は酷く、静かだった部室に響いた―。




謙也「なんで、」

ユウジ「謙也」



さっきまで後ろを向いとったユウジが振り向いた

きっと、俺が言おうとしてることが分かったんやろな

でも、止まらんかった。






謙也「なんで、自分等は笑ってられんねん!!」


昴『…謙也?』

白石「っ…!謙也、あかん!」

謙也「白石は黙っとき!もう、見てられんわ!!!無理に笑わんでええねん!!泣きたいんやったら泣けばええやろ!?」



昴が驚いとる

当たり前や

ユウジなんか顔伏せとる




昴『ちょ、待て待て。謙也、どうしたんだよ?無理に笑ってるって…誰が?』

謙也「昴に決まっとるやろ!他に誰がおんねん?」

昴『オレはっ…』

謙也「話したくないなら話してくれなくれもええねん。でも、たまには頼ってくれてもええやん。なぁ、俺達って、そんなに頼りないん?」



今まで笑っていた昴の表情が変わった

泣きそうな、でも泣けない

そんな表情




白石「謙也、」

謙也「…俺、帰るわ」

一氏「その格好で帰るんか!?」




俺はユウジの言葉も聞かずに部室を飛び出した。

こんなことを、言いたかったわけじゃないのに。

そう、後悔しながら―。






21.亀裂
(昴、)
(…オレも帰る)



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