何馬鹿なことを考えているんだオレは

目の前にいるのは、探していたユウジで、あいつじゃない

あいつ―司はもういない

もう会えないじゃないか―。




昴『(ユウジが、司とかぶる。司が、オレの頭から離れない―。)』

一氏「昴?ちょ、どーしたん?おーい?」

昴『なんで…』

ユウジ「?」








昴『なんで迷子になってんだよΣΣ






やめよう。何も考えるな

今は、目の前のことだけを見て生きろ

それが、今のオレにできる唯一のことじゃないか。



一氏「いや、ほんまにすまんって!」

昴『遅刻の次は迷子とかありえねーよΣ』

「お兄ちゃん、この人誰や?」




オレがユウジに軽く説教をしていると、突然誰かがユウジに服を引っ張った

誰だ?と思い下を見ると、そこには涙目の女の子がいて、

ああ、そうだ。ユウジはこの子をさっきまであやしてて…





昴『この子は?』

一氏「…迷子」

昴『……』




どうやら泣いているこの子を見つけ声をかけているうちにオレ達とはぐれてしまったらしい

…状況は分かった

でもな、




昴『なんで連絡しねーんだよ!!』

一氏「いやー。慌てて携帯家に忘れてしもうてん」

昴『何やってんだお前は

一氏「やから、さっきからすまんって言っt―」

昴『君、名前は?』

一氏「無視かいな」




今はお前の言い訳に付き合っている暇ではない

迷子ならば早く親を探してあげなくちゃいけないじゃないか




「…愛」

昴『愛ちゃんな。お母さんの電話番号とか、覚えてない?』

愛「…あ」




オレはしゃがみこみ愛ちゃんの頭を撫でながら優しく問う

すると、愛ちゃんは何かを思いだしたのかポケットに手を突っ込みあさりだした

そして、小さな紙切れを一枚、手渡した

それを開いてみるとそこには確かに電話番号が書いてあって、




昴『お母さん、こういう時のために渡しておいたんだな。よかった、すぐお母さんに会えるからな?』




すぐに携帯を開き電話番号を打つ

その間、愛ちゃんはユウジに頭をなでられながらホント?と嬉しそうに笑った




2、3回、鳴ったあと相手はすんなりと出てくれた

「はい、もしもし?」という言葉にオレは『こんにちは』と返す




昴『すみません、愛ちゃんのお母様ですか?』

母〈は、はい!愛は、そちらにいらっしゃるのですか!?〉

昴『はい。迷子になっているところをオレの友達が見つけて…今、一番大きい桜の木の下にいるのですが、分かりますか?』

母〈一番…あ、はい、分かりました。今行きますね!〉

昴『分かりました。愛ちゃんのことは任せてください。ちゃんと見ときますので』

母〈本当にありがとうございます!!〉






* * *





白石「一時はどうなるかと思ったわ…!」

一氏「堪忍な;;」




無事、愛ちゃんも親のもとへ届けられ、オレ達は白石達となんとか合流することができた

もちろん、合流した白石達は怒っていて、でも最後には「心配したんやからな!」と本音をはきだしていた

そんな白石達を横目に、オレはついさっき買ったばかりのたこ焼きを食べる

さすが大阪

めっちゃうまい…




謙也「まぁ、とにかく見つかったんやしよかったやん」

小春「そやな。そんじゃ、改めて花見始めよか!」




いつの間にとったのか花見をするための場所取りをしていたらしい

オレはなんだか楽しそうな白石達の後ろをついて行った




一氏「なぁ、昴」

昴『ん?ユウジどした?』

一氏「…やっぱなんもないわ」

昴『?』




一氏「(俺を見つけた時の昴の顔が、すごく寂しそうだった気がしたのは勘違いやったんやろか?)」







08.舞い散る桜、君を探す
(ちょ、オレのたこ焼きΣ)
(食ったもん勝ちや!)
<

- 18 -


|
[Back]






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -