先輩「よーし、今日は終わりにしよかー」



大分日も落ちてきた夕暮れ

テニス部は部長の一言で片付けにはいった

オレは謙也と共にボールを拾い籠に入れる

そのかん、片付けをしないでいちゃいちゃしてるユウジと小春が目に入り若干イラッとしたためユウジに一発ボールをお見舞いしてやった

何すんねんΣという悲鳴に近い声が聞こえたがあえて無視してみる




謙也「昴ーこっち終わったでー?」

昴『おう、こっちも終わったからすぐ行く!』




拾い終わったらしい謙也に駆け寄りテニスボールをしまうため部室に歩き出した

なんとなく空を見上げてみると見事にオレンジに染まっていた

そんな中、涼しい風が吹き抜けていく

桜は未だに満開だった




昴『桜、きれいだな』

謙也「どうしたん突然」

昴『いや、別にー』




桜か…いつもなら家族揃ってお花見をしてただろう

しかし、今年はそれができない

家族はみんなアメリカにいるし、オレにはもう1つ理由があった

あいつは、もういないんだ




謙也「…昴?」

昴『え、あ、な、何?』

謙也「いや、なんか、今すごく寂しそうな顔してたから…」

昴『え、まじ?あーあれだよ。こんなに満開でもあと1週間もしたら散っちゃうだろ?寂しいなぁーって思ってよ』

謙也「せやなー。あ、だったら、みんなで週末花見せーへん?」

昴『花見?』

謙也「ちょーどええやん。せっかく仲よぉなったんやし、みんなで行こや!」




みんなで花見か…

うん、いいかもしれない

考えてみればオレまだ遊びに行ったことねーじゃん




昴『うん、いいんじゃね?行こうぜ!』

謙也「決まりやな!誰誘おか?」

昴『白石と、銀とー』

謙也「ユウジと小春くらいか」




あの2人もかい

なんか自分達の世界に入ってく気がするけど、まあいいか




昴『うん、決まりだな!部室戻ってとっとと誘うか!』



俺は謙也と部室に向かって走り出した。






06.桜の木
(花見?別にええけど…突然やな)
(あら、お花見行くん?)
(せやでーユウジと小春も行かへん?)
(ええなぁ行くわ!)
(銀も行こうぜー!)
(せやなぁ…楽しそうやし行こうかな)


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