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2016 / 05 / 28 書きかけの手紙


元気ですか元気ですかと続けて書いた。繰り返すたびに消される言葉に息を飲み。私はただ繰り返し書いた。どうせ、送る宛のない言葉を並べるだけの手紙だからいいんだ。何度書いて消しても私の言葉に込めた力が紙をへこませてそこに言葉の跡を残すだけ。不揃いでかわいくない字を並べて読み返して少し投げやりになる。そして丸めて捨てようとして申し訳なくなって広げて積み上げていく。まとまらない思いが紙の束になる。
昔、涙を流しながら日記を書いていたことを思い出す。手紙と日記は違うのに文字を書いていると用途は違えど過去に並べた言葉のことを思い出す。涙の跡のついたページはどこだったけと本棚に並ぶノートに目をやる。何冊かのノートにはいくつも書きかけの日記があった。書き始めてから10年くらい経つ。書き始めた頃の日記は今よりももっと不揃いな小学生のような字だった。中学生の女の子とは思えないような不揃いな字で少し恥ずかしくなった。気が弱く悩むことが多かった中学後半〜高校生の前半はとても小さく薄い字を書いていた。心が文字に映されていて振り返るたび、やはり人の心の動きは行動や言動に反映されるんだろうと思う。今は前よりも先を明るく観ようとしているから文字も数年前より大きめで見やすいものになっていた。そうだ、数年後の私のために日記の途中に手紙をはさもう。書きかけの捨てきれない手紙も一緒に挟んでしまおうか。きっと開くことがあったとき、こうやってそれをネタに言葉を綴りたくなるかもしれないから、そうしよう。



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