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2015 / 03 / 18 春の根を摘み取って


夜が深くなる。悲しみが群青色になって瞼の裏を覆う。私は少ししかベッドに沈まない。硬いベッドが少し反発して私の存在を教えてくれる。いつの間にか朝になり、気がついたら日が沈む。いつまでも終わらない毎日を時計の針を見つめながら感じため息をつく。

私の頭の中にはいつでも空があってそして必ず生き物がいて途切れ途切れに音が聞こえた。なぜこんなに世界は悲しみを含みながらも賑やかな音を立てるんだろう。いつも絶望は静かに揺れている。賑やかさに切なさは隠される。不思議だと思う。ニュースでは連日、殺人事件や事故や天気予報が必ず流れるのになぜこんなにも世界は明るいのだろう。悲しみの音よりも喜びの音を響かせるのだろう。私は耳が悪いのかもしれない。誰よりも疎い人間でいたいのかもしれない。同化しようとしながらどこかで同族嫌悪していたんだ。誰にもなりたくなかった。どこかで誰にもなれないと知っていた。

冬が行ったり来たりして春が少し笑って桜の蕾を突っついた。お願い春よこないでもう少し賑やかさを冬に飲み込ませて切なさをきかせて。



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