ブログ | ナノ


2014 / 12 / 11 在り続けること


暗闇に溶けようとする。肌の色を隠すように黒で体を覆う。私は夜になりたかった。暗闇になりたかった。雨の音が優しく時々鋭く響く。傘を持たずに雨に濡れながら至極当たり前のことばかり考えて満足していた。どうしても生きたくないと思う瞬間が生きている確信に変わった。不思議なぐらい足取りは軽くて心は重かった。信号機の明かりが水溜りに反射して揺れていた。私は水溜りに映らなかった。
時は流れた。仮面は剥がれたり新しく塗り固められたりして日々新しい色に変わっていった。変わったようで変わってなかったのは瞳だけだった。私の目は触れる前にたくさんの情報を伝えてきた。仮面をつけていてもそこだけはありのままの私だった。どうやってもぬぐい去れない私でしかなかった。呼吸する肌が雨の粒を少しずつ飲み込みながら冷たくなった。連れて行かれる体温とそこに居続ける私が対比して息を止めたくなった。



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -