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2014 / 10 / 28 言葉の魔法


魔法を信じているあの子には小さな出来事でも自分が見たことのない初めて体験し感動する出来事を魔法だと言った。だから彼女の中では魔法が存在した。世界はいつでも優しかった、きっと彼女が優しく柔らかくしていた、きっと私は彼女のおかげで世界をこんなにも優しく捉まえるが出来た。

言葉が空に吸い込まれていく、私の耳の中で何度も流れ続ける歌は悲しくもあり喜ばしくもあった不思議と笑顔になれてその後に涙を誘った。

彼女の中にある魔法だと言う出来事がいつの間にか私の中にも吸い込まれていく。魔法なんてないと思っていた私にきっと彼女が魔法をかけてくれたのかもしれない。まさかって時々思ってしまうけれど彼女は魔法使いかもしれない。魔法を愛した彼女をきっと魔法も愛してくれた。勝手な私の想像だけれど勝手な推測だけれど彼女は掴まえてしまうと壊れそうなぐらい繊細ででも強く光を放ち誰よりも鋭い眼差しを持っていた。

「魔法は使うものじゃないんだよ」
「え、じゃあ魔法使いは・・・」
「あれは魔法に使われてるに決まってるじゃない」
「どうしてそう言い切れるの」
「魔法はね、言葉の集まりでね言葉が手を繋いで力を合わせた時に力になるの」
「うーん」
「でもただ手を繋ぐだけじゃだめなの、お互いが言葉たちがひとつのことを願わなければ叶わないの」
「じゃあ」
「時に言葉は人を滅ぼすことだって出来る。きっと言葉は神様で魔法は言葉たちがもつ職業」

彼女はくすっと笑う。彼女は私と違う世界からきた者みたい。なんて思うと私から笑みがこぼれる。


「それで、魔法使いは・・・」
「魔法が使ってる使い魔的なものだよ」
「あははは」
「笑わないでよ」
「ねえ、今考えたでしょ、使い魔のやつ」
「・・・・うん」
「だと思った」
「何でもお見通しだね」
「あれ?魔法みたいって言ってくれないの」
「それは魔法じゃなくてテレパシーっていうかなんていうか」

「なんで照れてるの」
「ありがとう」
「お礼なんて死ぬ前に言ってよ」

少しだけ彼女は泣いて「言葉の神様は気分屋さんだから私が伝えたい言葉をどっかにふっ飛ばしちゃって今なんて言えばいいかわからない」と恥ずかしそうに言う
「ねえ今普通に会話してるでしょう」
「今出てる言葉は平社員とか一般庶民みたいなもん」
「うわー、同じ言葉なのにそういう言い方するんだ。失礼な。言葉は神様だとか言ってた人はどこへやら」

「だって・・・」


彼女の言葉が私の耳に吸い込まれる。
言葉は不思議だ、彼女には勝てないけれど。



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