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2014 / 09 / 16 小さくなった夏を呑み込む秋


冷えた部屋、開け放した窓から入ってくる風はまだ生ぬるかった。夏が勢力を弱め追っかけてきた秋に飲み込まれようとしている。
私はいつからか諦めを心に浮かべるようになったし、早く周りが私を諦めてしまえばいいと他人行儀になっていた。言葉にしてもまた背中を押してくれる。その背中押しが言葉にする者たちの自己満足に見えるのは私が汚いからだと思う。幼い頃に並べて思い浮かべた夢と現実を比べようとすると生きた心地がしなくなる。ひとつ終わればまた新しくというがそのひとつが自分の中で意味を持たないものだとしたらどうだろう。一般的な見方からするとそれは意味がある。どちらが正解なんだろう。勿論、多数派からなる意見は強く根強く残り続ける。私の考えは甘いのかもしれない。かもしれないではなくて確実に甘い。私はいつもひだまりのような優しさに包まれて生きてきた。時に嵐に揉まれ晴れない空を眺めて明日の不安にかられたこともある。あの頃は希望を絞り出せるほどの勇気があった。光を追いかけていた。私よりも大きな嵐に飲まれてきた人たちを浮かべながら必死に晴れるのを待つ力があった。
言葉を並べるたびに残るのは後悔なのに私は後悔という言葉が嫌いだからそれを覆い隠そうとしたがった。晴れた空だけはいいわけじゃない。強く降る雨を見てそれに打たれたいと思うのもきっと何かに静かに溺れてしまいからなのかもしれない。そして洗い流して欲しいと願っている。リセットは出来ない。でも0になることはできる。
夏が秋に包まれていく中で少し感傷的になる。静かな秋に身を委ねて思うままに刺激の少ない優しい風の中で幼い頃を思い出したくなる。



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