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2014 / 08 / 13 優しくない子の話


優しくない子はいつもむすっとしてた。
可愛い白いワンピースを風になびかせみんなと違う方を向いてた。
いつも泣きそうだった。
でも泣かなかった。
時々怒っては他人に手を挙げた。
先生はいつも叱った。
優しくない子は下を向いて何か言いたそうにしてたけど何も言わずに頷いて最後に小さな声でごめんと嫌そうに言った。

優しくない子は私が声をかけても返事をしてくれなかった。
ほかのことも同じだった。
とても寂しそうだった。
でも誰にも何も言わずにただただむすっとしてた。
先生は少し気にしてたみたいだったけど何も言わなかった。
不思議と私はあの子が気になってしょうがなかった。
むすっとされるのを知っていてもおはようって言ってしまってた。
一度も返してくれなかったよ。

それでね
あの子は一回も笑うことなく転校しちゃった。
転校する日まで誰にも居なくなること言わなかった。
私は毎日、おはようって言ったのに最後まで何も言わなかった。

優しくない子って言ったけどそれは一度も優しくしてもらったことがなかっただけで意地悪されたこともなかったよ。
あれから随分経ってわかったよ。
あの子ね、ゆきちゃんっていうの。
ゆきちゃんはよく転校するから、仲良しの子作りたくなかったのかもしれないな。
離れるとき寂しくならないようにいつもむすって口閉めていたのかも。
思い返すのゆきちゃん私が言葉をかけるたびに何度も瞬きしてたっけ。
私は返事だけを気にしてたからゆきちゃんの気持ち気付けなかったな。

ごめんね、ゆきちゃん。




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