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2014 / 08 / 10 色と言葉


向上心と名付けた別の感情に従って私は何かを得ようとしてきた。誰かの表情の色を私が好む色にしたくて必死だった。予想外の色が表れると混乱した。私は私が欲しい表情を得るために沢山嘘をついて嘘がばれたあとに現れる想定内の色を見て安堵していた。自分のことを好む人を探しているのではなくて好む色を持つ人を探していた。ぬくもりも私のなかでは色のついた靄のようなものだった。色集めをするうちに昔描いていた夢も結局は過去の日記のキャンパスに書き残した落書きになっていた。
私には言葉しか必要なかった。運良く健康体に生まれた。色が確実に認識できたし匂いもわかる、声を出せるし聞こえる。だからきっとそれ以上に求める必要がない気がした。それ以外に何かを求めるなら他人の為になるのかもしれない。死にたいと言うより生きて何かを強く得たいと思わなくなった。だからといってそういうことを会話に織り混ぜると雰囲気がくすんだ色を持つようになる。だから多少嘘でも人と話すときは場に鮮やかさを持たせたかった。勿論、誰かに言葉を渡すときは着色された嘘と本当を絶妙にブレンドして使う。
情けない自分を隠すように誰かの言葉の彩りをキャッチできるように。



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