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2014 / 07 / 27 青緑の深い湖


私は不思議な世界にいた。何人かの知り合いと見覚えのない場所。動物園のようなメルヘンチックな場所。ジャングルのような木といくつかの囲いの中に入った動物と囲われていない野生動物。
私が囲いの中にいる一匹の犬を抱き上げた。するとその犬が喋りだした。そのとき、ちょうど近くにいた高校の同級生のI君が犬を呼んだ。犬の名前を何度も聞いたけど忘れてしまった。嫌そうな顔をして犬はそっぽを向く。近くにいた飼育員のお姉さんが私に言う。
「この子は嫌いな人に対して露骨に態度を出すのよ」
「でもかれは・・・(やさしいひとですよ)」と私は言いかけて犬に目を落とす。
高校時代と変わらず少し遊び人のような彼は笑顔を見せる。私はその笑顔がどんどん悪意の満ちたものに見えてきて悲しくなった。そのあとも犬は何度か私に言葉をかけてきた。そしてI君が苦手であるといった。
どれぐらいかの間、犬と時間を過ごしていると小学校時代に少し周囲から距離を取られていた子がやってきた。彼女も変わらなかった。あの頃の笑顔だった。切なくなった。
ずっと夕方のような写真の中のようなこの世界で決まったような決まっていないような道を私は歩いていた。犬を囲いに戻したあと、大きな湖の前でため息をついた。
何か居そうな気がした。青緑色で深い湖。時々、水面近くまで上がってきた魚の背びれが見える。赤や湖の色に似た青緑の背びれ、湖に吸い込まれるように足を進めていた。湖に入ったはずなのに水に触れている感覚がない。恐怖と安堵に包まれて今までにない気持ちになった。深いところまで来たとき、ふと死ぬんだなと思った。その瞬間、赤い魚の呼んだ波に乗せられて陸に戻されていた。何度か背びれと尾びれを見せながら赤い魚は湖に消えた。あっという間の出来事に呆然としながらも変わらずまた湖に体を沈めた。赤い魚は近くまでこなかった。少し離れたところで泳ぎながらこちらを伺っているようだった。湖にのまれに行く。私はいなくなるんだなと思った。青緑色の深い湖が静かに恐ろしく波打っていた。そこで目が覚めた。



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